ICHI

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのICHIのレビュー・感想・評価

2.9
3時間以余り固定されたカメラの超長回しでベルギーのアパートに息子と暮らす未亡人の日常生活が延々と映し出される。彼女は昼に客をとっており、この生活が破綻する匂いが最初から漂っていて、1時間が過ぎたあたりからちょっとした異変や沈黙が現れ始め、「いよいよか」と映画のリズムや世界観が急に変わる瞬間の快感を期待するが、その瞬間が訪れたのは3時間以上経過してからで、そのことによってそれまで伺えなかった彼女の内面があからさまになり、さまざまな伏線の回収となるかというとあまりそういうことはなく、不条理というか、理由が説明されない分、生きることの根本的な息苦しさを浮かび上がらせようとしているようでもあるのだけど、作品全体としては退屈さの方が圧倒的に勝ってしまい、不満が残る。
ICHI

ICHI