mone

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのmoneのレビュー・感想・評価

4.0
ブリュッセル に住む主婦ジャンヌ・ディエルマンの3日間を200分で見る。体力と時間を持て余すモラトリアムだからこそ見れたような贅沢な作品。

完璧なルーティンを披露する1日目。
綻びが静かな湖畔で波紋のように広がる2日目。
お金を入れるポットの蓋が開け放しになり、じゃがいもをうまく煮詰められずに鍋を持ちながら風呂場とキッチンを往復する彼女の異様さ。
そして3日目。クライマックスは開いた口が塞がらなかった。映画館でまだマスク着用義務あって良かったと心の底から思う。

200分間、静寂の中に響き渡る生活音。重くのしかかる閉塞感に叫び出したくなる。

蓮實先生が論じた映画の装置としての「覗き」の機能を(ヒッチコックにおけるサイコのイメージ)、強く感じた。シアターで何人もの見知らぬ他人と一緒に彼女の生活を覗き見する。彼女の孤独と退屈を共有する。不思議な映画体験だった。
mone

mone