このレビューはネタバレを含みます
神経質な所作から滲む日常への慢性的な不安、不満。登場人物はこの親子のみといえるが、会話はほとんどない。豪勢な家具と優雅であろうと心掛ける雰囲気の母の一方で、生活は極めて質素で、きちんとたたまれ何度も使用される新聞紙やアルミホイルが印象的。火曜日から木曜日にかけて、ままならなくなる日常がこの母の未亡人という立場、どうしようもない金の問題、孤独さをよく、伝えている。息子からもそれとなく言及されるのは地獄だろう。
そしてキッチン水回りの黄色と緑、スカーフの赤や通りすがりの女性のパンツの赤、色味も印象的。
長いが、とっても面白い。映画としてこの作品を残す意味は、大いにあると思う。