こうみ大夫

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのこうみ大夫のレビュー・感想・評価

4.6
見たいと思っていてようやく見れた。天才バカボンに昔こんな話あったなぁ、と。ルーティンに囚われすぎて何かズレると全部がズレてく、みたいな。まぁあれはウンコの話でしたが…
些細な演出が上手い。いや演出・撮影・芝居・音、全部が良い仕事をすることで表現を実現してる。泡が残った皿のところや、失敗した料理を見つけるとことか「あれ?新しいアングルかな?」と思えば事件が必ず起きてくれる。
最後はどこか「安堵」に見えた。真に「都会的」な映画であり、端から見たらルーティンのようにSEXして飯を食らう残念な生き物の生き方を「都会的」と思わせて生きてるのだなと思う。本来であれば最後、次に来るルーティンは風呂と息子の帰宅だ。血を流し扉を開けて迎え入れることも出来る。しかし彼女は血を拭かない。それはそうすることで、再びルーティーンへ戻ってしまうからであり、強い意志を感じる。「たまには息抜きして、リフレッシュすれば」などと言って解決を図る者たちへの、抑圧される女性たちからの強烈なカウンター攻撃。
これほど説明的演出を排すると我々はこの物語の外側や過去に対してよりリアリティを感じることがわかる。それは観客が受け取ろうと必死になるからだ。そういうことを今の映画は一生懸命考えようとしないし、「彼女の動機は何だったなのか」なんて陳腐な言葉を添えてくる。
こうみ大夫

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