観た。
なかなか問題作というか、凄いお話だな、と思ったら実話から着想を得た映画との事。そうなんだ…
切符を切る鋏をリズミカル鳴らすヨリ、懐かしい。こんな風景が昔はあったんだよな。内田裕也の鋏を鳴らす姿は流石ロッケンローラー、様になっている。
内田裕也はこの映画での佇まいがずっと良い。不満や怒りを秘めつつ、営団地下鉄の職員として働いている姿も、後半の色狂いとなり充実した様子も。
股間に異様に執着するようになる男。きっかけは救った女子なんだけど、最初自分の娘の入浴後の姿にも反応していたよな…
クロロホルムで寝かせたカエルの股間もなぞり、いよいよ喫茶店で見かけた女店員の家へ。
劇中に出てくる女の子達のファッションがみんな可愛い。82年公開か、ちょうど流行りを周回中なのかな。今っぽい雰囲気もあって面白い。
当時の吉野家の店内とか、ケンタッキーの看板とか観られるのも貴重。
女性の裸体の撮り方は、若松監督は流石のこだわり。こんな寄るか、とか。こんなじっくり見せるか。と艶かしくて実にエロい。
男はエスカレートしていき、事後に朝食を作ったり、タモリ扮するカメラ屋で買ったポラロイドで股間を撮ったり。3人を食卓に座らせての晩餐は笑う。養命酒入れてる?
夜な夜な出歩く男に小言を言う妻に「夜の街を見守っている。これは政治だ」と宣う男。
事をした翌日に喫茶店へねりかに会いに行き、じっと見つめる。薄々気づいているねりかに、水をもらいにいく。最早SMプレイのよう。
映画的にはいつバレて、どう終わるのかを緊張感を持って観進めるが、呆気なく皆んなで朝を迎える。
取り調べでのねりかの供述は冒頭のオフナレの続きか。ねりかの対応、気持ち的に理解できちゃうが、今の時代公開だったらもう批判で大変だろうな。つまらない時代。
最後はまさかの大の字でのテヘペロ。これで済まられる時代なのか、そんな事は無いだろうが映画はここで終わる。
この映画がアマプラで観られる事に驚きと感謝。良い緊張感とエロスと、内田裕也。見応えありました。
若松孝二、監督