湯っ子

水のないプールの湯っ子のレビュー・感想・評価

水のないプール(1982年製作の映画)
3.8
「水のないプール」と聞いたところから「早春」を思わせるけど、好きな女が映画館でデートしてるところを後ろの席から見てる状況なんかもやっぱ「早春」じゃんとか思って、裕也演じる主人公は妻子もいる立派なおっさんなのに、まるで思春期の少年のように自己中でバカで鬱屈としていた。
主人公は仕事にも家庭にも無気力で、唯一彼が情熱を注ぐことができるのは、若い女を追っかけること。だからといって、彼は女とまともな関係を作ることは求めていない。たぶん、相互作用のある人間関係を、彼は喜びとはしない(できない)のではないかと思う。
話と関係ないけど、やっぱり人間何かしら趣味とか好きなものとかがないと、食欲とか性欲に囚われて虚しい時間を浪費してしまうのではなかろうか。
昏睡レイプについて。今の価値観でこの時代のファンタジーを語る気にならないというのもあるけど、レイプされて傷つき悲しんでいる女性を見るよりも、「なんか気持ちよかったし、パンツの洗濯もしてくれたから、許す!」みたいな女性を見るほうが「なら、よかったね?」とか思えちゃう。まあ、たぶん私がおかしいのでしょう(いや、どんな状況でも、実際のレイプは絶対許さないのが前提ですよ)。
でもやっぱり、こちらまで後ろめたい気持ちになったのは、自分の幼い娘の裸を凝視するシーン。この主人公の変態性を示すのに、地味に強力でした。
みなさんご指摘のギャグシーン含め、理解が及ばない、割り切れない変態のお話は大好きなので、面白かったです。
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