三樹夫

水のないプールの三樹夫のレビュー・感想・評価

水のないプール(1982年製作の映画)
3.3
やってることとかストーリーは分かるのに訳は分からないやつ。地下鉄の切符切りの男が夜な夜な女性の部屋にクロロホルムを充満させ、昏睡したところをレイプするというとんでもない話だが、実話が元になっている。

冒頭、リズミカルに切符切りのハサミをカチカチさせる内田裕也。冒頭だけではなくハサミを持っている時はいつもリズミカルにカチカチさせている。もうこの仕事に飽きているのだ。ある日男2人に襲われているMIEを雨の中ボコボコにされながらも結果的に助けることとなった。またある日、ヤクザにボコボコにされる酔っぱらいの仲裁に入ろうとし吹っ飛ばされ右手をケガする。その帰り道に不思議少女に出会い、水のないプールに2人で立つも内田裕也は立ち去りMIEの部屋に侵入するが未遂に終わり、「戸締まりをちゃんとしろよ」とこの上なく心に響かない説教をかまして立ち去る。あくる日右手を怪我したことで切符切りが出来ず上司ともめる。また別日に家族四人でピクニックに行きカップルが青姦しているところを目撃する。
夜な夜なクロロホルムで連続強姦するまでの流れをざっと書き出してみたが、アマプラではピクニックでカップルが青姦しているところを目撃したのが大きなきっかけとなったようなあらすじだったが、そもそも毎日代わり映えのしない切符切りの仕事で狂ったのかもしれないし、MIEとの出会いがきっかけとなったのかもしれないし、不思議少女との出会いがきっかけだったのかもしれない、右手を怪我したことで毎日続けてきた単調な仕事が途切れたことがきっかけなのかもしれないと、主人公の行動原理は全く分からん。クロロホルムで昏睡させている間に炊事洗濯をしたり、理想の生活ままごとをやるのとか狂っとる。
ただし主人公は内田裕也主演映画によくある主人公キャラクターで、つまり内田裕也本人そのものだ。妻が樹木希林を思わせるようなのもよくあるし、口下手で喧嘩は弱く大概ボコボコにされているのも内田裕也主演映画の主人公によくある。

切符切りの仕事にうんざりして、転職活動始めて面接受けた企業が私人逮捕系右翼の完全にブラック企業だったのは笑った。
内田裕也人脈を使いジュリーがワンシーンだけ出演していたり、私人逮捕系右翼集団のボスが原田芳雄だったりする。内田裕也主演の映画には何故か流行のアイドルが出るが、まあ出るというよりかは引っ張ってこられたようなもんだと思うが、裕也さんの流行に敏感なキャスティングなのだろうか、それとも単なるアイドル好きか、この映画ではピンクレディー解散後のMIEが出ているが、何故この役がMIEなのかはよく分からない。
珍しく丸刈り裕也が見れ、水のないプールにポケットに手を入れ佇む裕也さん、水のないプールに寝っ転がり不敵な笑みを浮かべる裕也さんと、謎に丸刈りになってからが本番感がある。裕也さんのジンジャエールの正しい発音もあり。
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