ジェイコブ

降霊 KOUREIのジェイコブのレビュー・感想・評価

降霊 KOUREI(1999年製作の映画)
4.0
音響技師の佐藤の妻じゅん子は、霊感があるもののその力を活かせず、世間からは白い目で見られていた。ある日、警察から誘拐された少女の居場所を突き止めてほしいと依頼を受けるも、事件解決に繋がるような情報はだせなかった。しかし後日、じゅん子は自宅で、誘拐された少女が衰弱した状態でいるところを発見する。夫は警察に連絡しようとするが、じゅん子はこれをチャンスと捉え、女の子を利用して、一躍有名になろうと画策する……。
黒沢清監督作品。アナログならではの映像の粗さが、派手な動きをするわけでもなく、ただそこにいるだけの幽霊を恐ろしく際立たせている。ジャパニーズホラーの凋落は、昭和の頃より格段に飛躍した映像美が大いに関係しているのだなと、本作を見て改めて感じた。
役所広司と風吹ジュン演じる夫婦が、欲に駆られて、罪のない少女を死に追いやってしまうという、何とも胸くそ悪い話である。特に役所広司は、化けて出た子供を狂ったように殴りつけ、挙げ句「お前が悪い」と悪態をつくクズっぷりに、ここまで呪われればいいのにと思えてしまう主人公も珍しい笑。
お祓いをする神主が若き日の哀川翔なのもまた面白い点。「地獄はあるんですか?」と尋ねる役所広司に対し、「あると思えばある、ないと思えばありません」からの「分かりません」という何一つ答えになっていないやり取りは、真面目なシーンのはずなのに何だか笑えてきてしまった笑。この場面を見たとき、去年やったテレ朝の「女子高生の無駄使い」というドラマの中で、哀川翔の娘(福地桃子)演じるキャラクターが、担任の教師と似たようなやり取りをやってたのが重なって見えたのは、やはり親子……と言うべきか笑。