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エヴァの告白のNMのレビュー・感想・評価

エヴァの告白(2013年製作の映画)
3.9
原題『移民』。

戦火のポーランドから、親戚を頼ってアメリカに渡ってきたエヴァ。
その顔はやつれきっている。

妹と二人で来たようだが、病気で隔離されたまま連絡も取れない。
エヴァ自身も入国審査が通らず留め置かれてしまう。
なんとしてもアメリカに滞在し、働き、妹を救い出さねばならない。

そこへブルーノという男が現れ、うまく話をまとめエヴァを通してくれた。
住まいにまで招いてもらい、お針子の仕事もくれると言う。

ブルーノの仕事場はマジックやダンスを見せる劇場。
ここでショーに出る女性たちをまとめており、彼女らもブルーノの顔の広さや目利きを信頼している。
風呂場に裸で集まっている女たち。
もうこのシーンからこの先のエヴァの運命が不安になる。

親戚を尋ねるが、期待むなしく結局頼れないことになってしまい、妹のために自分一人で何とかするしかない。
お針子のはずがショーに出ることになり、さらにカラダで稼ぐことになっていく。

新たな男が来てエヴァに色んな話をする。ブルーノのいとこであり以前二人は一緒に仕事をしていたらしいが、ある日女性を連れて失踪した。
未だブルーノは許していないが、客を呼べる彼を支配人がまた雇ってしまった。

トラブルは連続し、ブルーノと女たちは劇場を出ていくことになる。

二人は尚もいがみ合いやがて事件へ発展。
近よる二人の男。エヴァはどちらを信じていいか戸惑う。

仲間の女性たちもエヴァのせいでトラブルが起きだしたと段々冷たくなってくる。しかしエヴァも必死なので黙って従うわけにいかない。

ついに警察に目をつけられ、エヴァは今までこの男が自分にしてきた真相を知る……。

エヴァが妹のために何でもする様子がひたむき。
二人で白いレースのワンピースを着てピクニックをしたあの日々。
こんな世間のことなど何も知らなかったのだろう、船に乗ったときから彼女の運命は転げ落ちる。
しかしどんな目に遭ってもエヴァには絶望したり人を恨んでいる暇などない。
それよりも妹のこと、それから信仰心の強い彼女には売春している自責の念のほうが大問題だった。

最後だけはついに少し希望が見えて、エヴァの幸せを願わずにいられない。
たった一人で耐え、何をされても人を恨まない彼女は素晴らしい。
か弱くもあるが強くもあった。

邦題の「告白」というのは教会での告解のことを指しているだろう。
あのシーンのみエヴァは涙ながらに自分の正直な気持ちを語っている。それ以外はずっと気を張って必死に自分を保っている。
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