移民達は明るい希望ばかりではなく、止むに止まれぬ事情で海を渡ってくる。敬虔なカトリック教徒のポーランド移民エヴァを通して描かれるのは、1920年代のアメリカの光と闇。
グレイ監督はホアキンとマリオン、二人の為に脚本を書いたそうだ。ホアキン・フェニックスは人間の弱さ、狡さといった心に巣くう負の感情を滲ませるのがとても上手い。
対するマリオン・コティヤールは、クラシックな雰囲気を持ち、セリフなしに感情を伝えられる女優。監督が「サイレント映画の女優の様に眼に焼き付いて離れないような美しさ」と語った記事を思い出す。
「あなたはクズじゃない」とブルーノを赦すエヴァの強さ、崇高さに心打たれる。面白みはないが、重厚にして奥深く、映像が美しい作品だった。