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ある過去の行方のvenom9のレビュー・感想・評価

ある過去の行方(2013年製作の映画)
3.8
妻が再婚するため、事実上関係が破綻している夫を離婚手続きのため呼び寄せるところから、物語が始まります。
はじめ物語の中心人物かと思われた離婚手続き前の夫アフマドは、観進めるにつれ狂言回しのような役割であることがわかります。アフマドは自分の子ではない、別れようとしている妻の長女リュシーとも自然に話せるし、他の子供達の面倒見もよく、在仏イラン人の友人達とも良好な関係を築いていて、よき常識人であることが伺えます。一方で別れようとしている不倫妻マリーはいったい何回結婚しているんでしょう、恋愛体質ですか。マリーがサミールと不倫関係となりサミールの妻セリーヌが自殺を図った、ということ。
絵面が暗く雨がちで、登場人物は怒っているか泣いているか仏頂面かで終始張り詰めたムードです。登場人物の発言から、マリーの自殺未遂までの経緯が徐々に明らかになりますが、最後まで真相はわからず仕舞いです。
ラストシーンのマリーの涙、彼女の回復を告げるようで、曇天から一筋の陽光が差し込むような神々しいシーンでした。
(2023年12月 U-NEXTにて鑑賞)
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