「別離」のアスガー・ファルハディ監督。この方、天才じゃないですか……?
「ある過去の行方」という邦題が秀逸。過去の真実を求める一方で、その過去は必ずすべて今やこの先へつながっていくということ。「別離」同様子どもたちの描き方が本当に本当に上手いのですが、本作は起こってしまった事実をどう消化して、どう立ち向かってゆくのか?というテーマもありずっしりとした重量感がある。
塗り替えてもなかなか乾かないペンキとシミのついたドレス。雨に濡れた髪は乾かず、ぼんやりとしたままドライヤーをあてすぎれば熱くて「もういいわ」と言われてしまう。緊張したテンポで二転三転する終盤を経てのラスト。雨の日にみたい映画が増えました。