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月とチェリーのFunatesuのレビュー・感想・評価

月とチェリー(2004年製作の映画)
2.0
江口のりこさん観たさに鑑賞。個人的には面白かったです。

にっかつロマンポルノの後期、金子修介監督作や脚本作品のような、学園モノであったり若者の日常を扱ったポルノコメディ。

うる星やつらのようなノリの不条理な登場人物と性的に奔放な女性の存在。

全くもって、にっかつロマンポルノですね、いい意味で。

若者の性を扱った作品は、洋画から邦画のにっかつ作品とかで沢山ありますが

大きく分けて二つ、

一つは今現在、性に興味津々の若者に向けて作られた作品と

一つはもっと大人に向けて、翻弄される若者達の行動を俯瞰に見て、『あぁ、若い頃はこうだったかなぁ〜』なんて思い返しながら観る作品と。

今作はどちらかというと後者。ガチでエロを期待して若者が観ると期待はずれかもしれませんが

オッさんから見たら微笑ましい展開の作品でした。

違うのは
にっかつロマンポルノの場合は、ステレオタイプな性に奔放な女性や、お嬢様とかが主人公で
みたいな展開が多いのですが、

今作は逆に、ステレオタイプなキャピキャピの女性が脇役に出てきて、

その存在の軽薄さに辟易する、ような描写があり、さすが女性監督の視点だなと。

主題のクールな女性の方が共感を感じるような作りになっている所です。

人を好きになる、愛情、所有欲

性的な興味、性欲、若者の性

という二大要素とは別に、本作では官能小説を書く事、すなわち自分の価値観的に必要なものも重要、という観念があって

そうだね、若い頃は単に彼女がいたり、性的に満足したりって事だけあれば全部OKって訳じゃなくて

ああなりたい、こうなりたいって渇望が常にあるわけで、

上の二つだけ満足してもただ虚しさを感じたりしたもんだなぁと

そういう意味でリアルな青春群像であるし

だからといってそこを深く掘り下げる訳でなく、決着を求める訳でなく

ただ彼女の
『私海岸でSEXしたことがない』
って一言で、『2人の中では』一応の決着がつくラストに非常に共感しました。 

映像が時代なのかビデオ的な感じなのと解像度が低い

間延びした心情表現のカットがありテンポが悪いなど、稚拙な部分も見受けられますが、面白い作品でした。
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