前方後円墳

ココロとカラダの前方後円墳のレビュー・感想・評価

ココロとカラダ(2004年製作の映画)
1.0
6人の監督が女性を主人公に愛とエロスを描く『ラブコレクション』のシリーズ。
安藤監督は女性の友情の中で起こるすれ違いを描くことが上手い。そして、この作品では二人の痛々しいほどの傷つけあいと自虐を繰り返し、そこから再生する過程を描いている。

学生時代に恵子(未向)がレイプされているところを知美(阿久根裕子)がその男の頭を石で殴ることから、二人は秘密を共有するようになる。そして恵子はそこから逃げるように東京に行き、体を売って生活をしていた。逆に知美は恵子を追うようにして東京に出てくる。ここで、すでに二人の気持ちのズレがわかる。何もかも捨ててしまいたい恵子とそれを共有しようとする知美。そして二人は共同生活をするようになり、ついに衝突をする。この時点ですでに、どちらもカラダだけでなく、ココロも壊れているのだ。さらに恵子は知美に自分と同じ仕事をするように薦め、知美はそれに従う。どこまでもお互いを傷つけあい、自らを傷つけていったのだ。この二人にとってこれらの行為は過去の出来事をカラダとココロの両方から消し去るために必要な行為であり、彼女たちは生理的にそれを実行していたのであろう。

最終には磨りきれて、何もかもなくなって、ようやく彼女たちは残りカスのようなお互いを確認し、次の一日を生きることができるのだ。