まりぃくりすてぃ

29歳からの恋とセックスのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

29歳からの恋とセックス(2012年製作の映画)
2.0
最初の5分間は、テンポよくてカンペキっぽかった。
神経質なルーク、誠実なヘンリー、鮮魚屋で出会った気持ちわるいニック、そして愛があって気さくな父親、、、男優陣がそこそこ魅力。(それぞれジョエル・キナマン、ハミッシュ・リンクレイター、エイガン・ギス、ビル・プルマン)
29歳の主役ローラが誠実ヘンリーに添い寝してもらう美シーンで、オルタナの Lower Dens の I Get Nervous がしっとりキンキン鳴り響いてくれてて最ゴキゲン。
あとは、あんまり褒めれない。締まりがなくって。

29歳の独身女の “薄幸・迷走・道標” で私なんかを惹きつけるには、繊細さがリアリティーとともにマスト。なのに、主演グレタ・ガーウィグは痛キャラっぷりを初級コメディエンヌとして強調するばかりで、普遍性に届いてない。
クラブで大声でわめかせたり、万引きさせたり、という台本はまあいいとして、、眉間の縦皺とその上の横皺がしょっちゅう「〒」に見えちゃうデコ出しセンター分けの徹底が、見苦しくて、、、

何年か前にそういう年齢だった私から云わせてもらえば、10代からずっと塗るものやヘアや着るものに取り組まされてきた私たちというものは、29歳にもなればほぼ自然に次の4タイプのどれかに近くなる。
① 18歳頃の人形肌はとっくになくても、センスとテクが上がりに上がってるから客観的に “自分史上最キレイかも” の峠を堂々と歩き中
② 万人ウケは特に狙わず、自分のスタイルを確立させてる
③ 意欲や執着が少なくてふだん地味めか緩めにしてるが、ここぞというシーンではちゃんと自分を無難に飾れる
④ 投げやりで怖がりなまま年だけとっちゃったような
───これが独身女子社会人のリアルというもの。
ところが、女優グレタがやったことは、どのタイプにも程遠い、「自分が女であることの不断の再確認にはちゃんとエネルギーを注いでる。派手でいようとしてる。にもかかわらず、わざといつもダサくしてる!」だ。
男眉やくっきり目に魅力や意味があるかないかよりも、とにかく真っ先に醜い「〒」なオデコが気になって気になって、私はストーリーがあんま頭に入ってこなかった。(音楽はおおむね助けだったものの。)
ダサに走っておいてグレタは、金髪強調のロングを必ず巻き巻きしてて、ロープ編みまでしたりしてる。こんな女は実際いるはずがない。単にコメディエンヌ女優がそこに在るだけ。
同じデコ出しでも、友人アリス役のゾーイ・リスター・ジョーンズは一定の似合ってる感を持っていた。このゾーイっていう損したがらない女優が、助演と脚本と製作総指揮だとさ。なるほどね、興業系の漫才コンビだ。ゾーイがネタ書いて、グレタをダサく “輝かせて”、二人で楽屋で「売れるかな? 売れるかな?」とクスクスしちゃったんだ?
グレタが終盤の大学の論文発表会シーンでだけ見違えるように美麗だったのは、ちゃんとグレタの面目を躍如しておこうというグレタ向け(&グレタファン向け)サービスかな。映画としてはそこに意味ない。
“身につまされて、面白い” がどこにもなかった。モノづくりの根本が繊細じゃないから。もしくは、19歳ぐらいみたいに幼い。

ただ、ドラマ自体は、どっちかっていうとよかった。そりゃ、イケメンが二人三人出てきて恋だのセックスだの次々と相手が入れ替わるんだからね。ヘンリー誠実だったし。

グレタのデコ出しの仕方が私はどうにも好きになれなかっただけ。デコばっかり見てた。。


[つたや]


部屋で一人で浴衣を着て観た。紺系。帯は桃。金魚掬いやりたいと思いながら観た感じ。