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大統領の料理人のhoteltokyoのレビュー・感想・評価

大統領の料理人(2012年製作の映画)
4.5
小さなレストランを営む主人公オルタンスはその天才的な腕から大統領の専属料理人に大抜擢される。大統領官邸での女性料理人は史上初だ。自信がないと拒む彼女だがまずはやってみようと足を運ぶ。完全な男社会である大統領官邸の調理室で様々な妨害に合いながらも天才的な腕と気さくで情熱な正確から周りも徐々に彼女の虜になる、とそんな話。

料理系の物語では傑作級に良かった。なにが良いって天才を主体にした映画は、例えば『ソーシャルネットワーク』や『ナイトクローラー』みたいに性格に難があるパターンが多いが、主人公は天才的な料理の腕を持つだけではなく人格者なのだ。必然と周りに良い仲間に囲まれる。つまり観ていて気持ちが良く、ずっと観ていられる映画だ。

大統領と料理で会話する彼女。新物のトリュフが入った事を聞きつけた大統領は夜な夜なこっそりと彼女の元へ訪れる。壁にぶち当たってることを打ち明けると大統領は「僕もそうだよ。逆境だね。逆境は人生の唐辛子なんだ」と伝える。意味が合っているか分からないが、辛味もスパイスなんだろう。

天才はそれでも苦悩する。料理の本当の意味というのを。だからこそ天才なのだろう。南極の食堂で愛される彼女を見てると、朝早く起きて、犬の散歩にでて、山にトリュフを探しに行く時間を楽しめるって有意義だよな。

人間って嗅覚からの記憶が一番残るらしいから常にトリュフを嗅いでいられる仕事って最高の人生だよな。
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