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大統領の料理人のruのネタバレレビュー・内容・結末

大統領の料理人(2012年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

オルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)
ニコラ・ボヴォラ(アルチュール・デュポン)

映画は主人公ラボリが南極の基地で給食を作る仕事をしている時から始まる。南極は日が出ていても曇っている天候。そんなラボリの元へオーストラリアのインタビュアーが話を聞きにきた。4年前へ時系列がうつり、ラボリが大統領の料理人にスカウトされる場面まで遡る。そこから「現代の南極での料理家」と「大統領の料理人の仕事をこなす日々」との場面を交互にしながら映画が進んでいく。

大統領の料理人の時は、初めは仕事に慣れない中でも、自分のスタイルを貫き、自分のサポートをしてくれるニコラとは波長が合っていく様が描かれる。一方で他の大きな厨房とはライバル関係みたいなものが出来上がっていく。この大統領の料理人の場面では、徐々にシーン暗くなっていった。
大統領はフランス料理でも、庶民的かつ、「祖母が作る味」のような料理を好みラボリをスカウトした。ラボリと料理の話で盛り上がり、次の予定に遅れてしまうほど料理が好きな人であった。

南極の場面では、料理人ではあるが、料理を楽しんでいたため、料理家と呼びたい。
南極での料理家の時は、インタビュアーが来た際には何も話すことは無いと言い、数年間ともに過ごした仲間にも大統領官邸で働いていた時の事は話していない様子だった。しかし、ラボリはここでは全ての人から愛されていた。

大統領官邸と南極基地での違いはここにある。ラボリはこだわりが強いため、自分が信用した食材としか仕事をしたく無い印象を受けた。少し変わり者で厨房には少ない女性であるためか、助手のニコラ以外には最初は少し嫌われている印象だった。

この映画は全体的に光の使い方が上手く、綺麗だった。しかし、交互に描かれているためわかりにくいが、大統領官邸のシーンでは徐々にシーンが暗くなっていき、南極基地のシーンは元々南極が暗いが、人の暖かみがわかるシーンが映画を進むごとに増えていった。
大統領官邸で仕事をし、心身共に疲れたラボリを、寒い南極基地の人たちは暖かく、癒してくれた。ラボリが南極基地を後にする前夜のパーティーではお互いがお互いの存在に感謝し、蛍光灯の光が温かくみえた場面でもあった。

最後に、ラボリが新人シェフに材料を計る時の会話で言っていて、印象に残った言葉がある。「料理人は会計士じゃないわ。芸術家よ。」計算して作ることも大切だが、食材の、料理人の、作る人への思いも、個性を大事にしたラボリだからこそ出た一言であった。



以下Amazon Prime あらすじ より

片田舎で小さなレストランを営むオルタンス・ラボリがスカウトを受け、連れてこられた新しい勤務先はエリゼ宮。そこはなんとフランス大統領官邸のプライベートキッチンだった。堅苦しいメニューと規律と縛られた食事スタイル、嫉妬うずまく鑑定料理人たちの中で、彼女が作り出すのは「美味しい」の本当の意味を追求した料理の数々。当初、値踏みするような目で遠巻きに眺めていた同僚達も、いつしか彼女の料理の腕と情熱に刺激され、彼女のペースに巻き込まれ、官邸の厨房には新しい風が吹き始める。やがて、大統領のお皿に食べ残しが無くなってきたある日、彼女に直接声を掛けてきたミッテラン大統領の口から意外な話が飛び出すー。
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