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大統領の料理人のharuのレビュー・感想・評価

大統領の料理人(2012年製作の映画)
3.0
おふくろの味。

南極の基地で、隊員に食事を作るオルタンスは、かつてフランス大統領の専属料理人だった。4年前、突然ミッテラン大統領のランチを担当することになったオルタンス。ところがエリゼ宮の厨房は男の世界。オルタンスは、男性シェフたちから嫉妬され、嫌がらせをされるのでした。

フランスのミッテラン大統領の専属料理人を2年間勤めたダニエル・デルプシュの話。煌びやかな主厨房のメニューにウンザリしたミッテラン大統領は、素朴な「おふくろの味」を求めて、デルプシュを雇ったそうですが、さすがオシャレ大国フランス。「おふくろの味」の認識が違いすぎる…!食材はこだわり抜いた最高級のものだし、彩りも鮮やか。劇中で披露される彼女の料理はどれも美味しそうで、カップラーメン食べてる自分が悲しくなりました。
さて鑑賞後にデルプシュのインタビューを拝見しましたが、とにかくめっちゃ強い人です(笑)エリゼ宮の厨房は、男性シェフがひしめき合う男社会。オルタンスは初日から嫌味や嫌がらせを受けますが、ダメージゼロ。「男の嫉妬は見苦しいわぁオホホ!」とばかりに、全く意に介しません。終盤、オルタンスは南極の隊員たちに「最初怖かった」とか「話しかけづらかった」とかいろいろ言われてましたが、まさにそんな感じ。これぞ「戦う女」。一緒にいたら緊張でどうにかなりそう。
ストーリーはそんな彼女のサクセスストーリー…かと思いきや、オルタンスは実力を十分に発揮した上で、そういった面倒くさいシガラミとは向き合うことなく、あっさり退場します。このへんが意外というか、根性が美徳な日本人にはちょっと受けが悪いかも。オルタンスは最後まで自分を変えることなく、自分が受け入れられないと知るや、潔く舞台から去っていくのです。見終わった直後は「え?」って感じでしたけど、ここまで自分を曲げないのは逆にすごいし、それでも彼女を求める人は大統領以外にも大勢いる。
ニコラは良い部下だと思うんだけどなぁ。
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