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大統領の料理人のすのレビュー・感想・評価

大統領の料理人(2012年製作の映画)
3.0
また料理もの。今喉がやられてて流動食みたいなのしか食べられないからせめて映画で摂取。期待通り登場する料理はどれも目にも麗しい美食ばかりで、フランスの田舎料理が食べたくなった。手際と段取りの良さにも見習うところがたくさんあったな〜。夜な夜なキッチンへやってきた大統領に、トリュフ入りのバターをバゲットに丁寧に、だけどそつなくサッと塗りあげて振る舞うシーンが料理人のこなれた手つきのそれで、すごく好きだった。

ー 食事は最初から最後の皿まですべてつながり、秩序と論理で成り立ちます ー

この言葉から一品ずつ丁寧に作りあげることの大切さ、どんなコース料理も全てが計算し尽くされたうえでのひとつの芸術であることを改めて気づかされた。

ただこの作品、結構なジャケット詐欺だと感じていて…。だってパッと見明るいサクセスストーリー思い描きそうじゃない…?たしかにあらすじには新しい環境下で冷遇されるみたいなことは書いてあるのだけど、それに屈しない=我を通すみたいな描き方をされているのがなんだかなあと。良くも悪くも反骨精神が片っ端から空回りしちゃってる感じが見ていて居た堪れなかった。実際にこんなに勝ち気で融通の利かない人物だったのかが気になるところ。だとしたら、食材もカロリーもケチらずおいしさのみを追求するという料理人としての性が譲れない、ある意味まっすぐすぎる人だったのかも。

いくら実力があっても小さな社会であるほど最低限のマナーや敬意、軋轢を生まないための配慮は必須だよな〜とかいう料理よりソーシャルスキルの勉強になった。一方で実力があるほどひとつの場所に固執する必要はなくて、自分がのびのびやりたいことを自由にやれる環境に身を置けることが一番理想的だよなあとも。だからこそ彼女の選択はとても価値あるものだし、それができる力と覚悟があることに同じ女性として憧れた。男性相手だろうと物怖じせず、真正面から対峙する姿勢にも励まされるものがあったな。

とりあえず早く元気になっておいしいもの食べたい…
す