CANACO

誘拐のCANACOのレビュー・感想・評価

誘拐(1997年製作の映画)
3.5
渡哲也さん、永瀬正敏さんが、刑事として3億円誘拐事件に挑む話。一般人も巻き込みながら、東京の中心部を身代金を持って走り回るモブ撮影は、何度見ても大掛かりで楽しい。CGなしのこの臨場感、東京マラソンでしか見られない画角、特に人の数には圧倒される。

身代金の受け渡し、人質の身柄確保、犯人逮捕をどうやってするのかが見どころの誘拐ものに、ミステリー要素を加えた本作。前半は動、後半は静(謎解きモード)とかなりトーンが変わる。
トリックも含めかなり気合の入った作品だが、今と比べると悲しいくらい通信技術が古いなど、若い人には伝わりきらない部分があるのが残念。ミステリー好きとしてはあれこれ話したくなる後半〜ラストだった。

永瀬正敏さんはコントのように取ってつけた「アメリカ帰りの切れ者デカ」キャラで、説得力がなかった。普通の若手刑事でよかったと思う。当時、FBI捜査官ものが流行ったからか。
しかし、「踊る大捜査線」以前の作品で、主演が「西部警察」の渡哲也なので、警察の描き方はヒロイックでのんびりしてる。
白石和彌監督作品を一気に見たせいか、「孤狼の血」の大上なら、津波の過去くらいは調べ済みだろうなとか、白石作品の警察ならこんな結末にはならないだろうなと考えてしまう。

性善説的な警察の描き方も含めて、鑑賞後嫌な気持ちになることはない作品。
wiki情報だけど、渡氏の意向で実際に30キロの紙を入れて走ったらしいので、それも含めてよく頑張った作品。
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