ポルりん

復讐霊 呪殺動画のポルりんのレビュー・感想・評価

復讐霊 呪殺動画(2013年製作の映画)
3.1
復讐する霊をコンセプトにしており、そこら辺にあるゴミよりはレベルが高い心霊投稿系。

1.呪いの御神木

■ あらすじ

『有名な心霊スポットで、神木のたたずまいに文句を言い、あろうことか神木に空き缶を投げてしまう彼氏。
そこに現れたものとは・・・。』


■ 感想

いいですねーー!!
幽霊が出現するタイミング、ヴィジュアル、配置、カメラワーク、編集、そしてクズ彼氏に起こる悲劇。
少し前に観ていた「いる。」や「ほんとにあった!呪いのビデオ」とは、まるでレベルが違う。


通常再生で感じる何かしらの違和感。(ここ大事)

スローで再生。

実は、映像内に悍ましくリアリティのある亡霊が・・・。


こういうのでいいんだよ!!
もしくは、「闇動画」みたいに完全に吹っ切れてるやつ。

大体「ほんとにあった!呪いのビデオ」に出現する幽霊なんて、あんなの後で再生しても絶対に気付かないだろ!!!
幽霊が出現するって分かってる状態でも気付くことが出来ないのに、一体どうやったら知らない状態で気付く事が出来るんだよ!!
何か・・・「ほんとにあった!呪いのビデオ」に出てくる投稿者は、皆とりあえずビデオカメラで撮影したら、幽霊がいないか毎回注意深くチェックしているのか!!!

んな訳あるか!!!



まあ、とはいえね・・・。
とはいえ・・・この話も完璧ではなく変な所もあるよ。
とりあえず、復讐をコンセプトにしてるんだけど・・・この話は復讐とはまた違うんじゃないかな??
復讐というより、天罰でしょ。これ。




2.復讐する女子高生


■ あらすじ

『投稿者の携帯に映った女子高生同士の殺傷事件。
発端となったイケメン男子に絡む、過去付き合った女子の怨念が動画に・・・』


■ 感想

1つ目の「呪いの御神木」を観て、かなり期待していたのだが・・・。
なんじゃこりゃ!!!
マジでひでぇな・・・。

イケメンチンポマンに捨てられた元カノが、調子に乗ってる今カノにブチギレ、包丁でめった刺しにする映像を友達が偶然撮影してしまったようだが、有り得ないほど不自然だらけだ。



① ビデオカメラを回している必要性


今カノがイケメンチンポマンに電話する所を、友達が楽しそうに撮影しているようだが、なんでそんなどうでもいいの撮影するんだ??
約30年近く生きてきたが、これまで一度も交際中の女性との会話を撮影された事などないし、ましてやしたこともない。
ついでにそんな光景を見たとこがない。

撮影するという事は、何かしらの目的があるはずなのだが、それが全く見えてこない。
一瞬、チンパンジーと脳が酷似している今カノを撮影する事により、動物心理学や動物行動学を学ぶために撮影をしているのかと思ったが、今カノとの会話を聞く限り、撮影者自身もチンパンジーレベルの知能しかないようなので、その線は限りなく薄い。
何かしらの交渉や脅しの材料に使用するために撮影しているのかとも思ったが、チンパンジーにそこまでの知能があるとも思えないし・・・。


② カメラワークが変


今カノとイケメンチンポマンとの電話を撮影中、右手で何かが走ってくる足音が聞こえる。

カメラを右に向ける。

元カノが今カノに向かって包丁を持ち、走ってくる。

余りの出来事に友達がカメラを落とす。

カメラは、今カノがめった刺しにしているのを捉える。


実際は違うだろうが、視聴者に見せるような映像にするのならば、普通は上のようなカメラワークをするだろう。
しかし、本作の場合、


今カノとイケメンチンポマンとの電話をしている光景が続く中、突然何の前触れもなくカメラを右に向ける。(何で??)

カメラを右に向けている最中に、何かが足音が聞こえる。(ほう、元カノが走ってるのかな??)

カメラを向けた先に元カノが静止して、何かを待っている(スタッフの合図かな?)。足音はまだ聞こえている。(静止??じゃあこの足音はどこから聞こえてきてるの??)

元カノが今カノに向かって包丁を持ち、走り出す。足音は同じように鳴り響いている。(え、今走り出すの??元カノ走り出したから、さっきの音と重なって聞こえると思ったら、特にそういう事はないのね。編集さん・・・ちょっと雑過ぎですよ。)

一瞬、カメラが空を向け、その後、今カノをめった刺しにしているのを捉える。(わざわざ撮影するとか・・・友達なにやってんの??)


と、普通では絶対に有り得ないカメラワークをしている。
まるで、撮影中に元カノが今カノを殺害すると知っているかのような動きだな・・・。



③ 酷い殺害シーン


恐らく製作者側は、世にも悍ましい凄惨な殺害シーンを表現したかったのだろう・・・。
その熱意は観ているこちらにも伝わってくるほどだ。
しかし悲しいかな・・・。
別の意味で凄惨なものとなっており、とてもじゃないが人を殺害しているようには見えなかった。


・包丁で深く刺しているはずなのに、全然今カノから肩から血が出ない。
代わりに、何故か股から血が出ている。


・めった刺しにされているはずなのに、割と普通に抵抗している。


・数えてみたら、約17回ほど今カノを刺しているようだが、その間お互いの衣装や包丁に全く変化がない。


・元カノから全く殺意や怨恨といった類の感情が全く伝わってこない。


・元カノの包丁さばきが酷い。以前、バラエティー番組にて鈴木奈々が風船スイカ割りという企画で、壊れた人形のような奇怪な動きをして、お茶の間を爆笑の渦に巻き込んだが、それとかなり酷似した動きをしている。


・元カノが今カノをめった刺しにしている様に見せたいんだろうが、どう見ても空振りしている。
恐らく30cmは離れてるんじゃないだろうか・・・。
小学生の学芸会でも、もっと上手くやるぞ!!!




3.ロケハン


■ あらすじ

『映画撮影用の廃墟の下見動画に、恨みをぶつける親子の霊が・・・』


■ 感想

かなりいい。
ただ、1回目と2回目、どちらも幽霊の動きに変化を付けず、ただ撮影スタッフをじっと見つめるだけの方が尚の事良かったかな。

それと、この話には、


・侵入者を確認しに来た幽霊

・屋敷からスタッフに助けを求めてる幽霊


といった、2体の幽霊が出現するのだが、何の復讐をしたんだろう??
そもそも、この撮影スタッフは、これらの幽霊から復讐されるような事何もしてないしね・・・。

もしかして、映像内には映ってないけど、撮影スタッフが幽霊の住処内で野糞でも撒き散らしたのだろうか・・・。
それで、幽霊が復讐しようとしたら撮影スタッフが帰っちゃったと。
そういう事か・・・。



4.立ち入り禁止

■ あらすじ

『女性達が、気味悪い物が散乱する謎の施設に潜入すると迫るのは・・・』


■ 感想

うん、凄くいい!!
幽霊ではなく、生身の人間ってのもいいね。(タイトルが「復讐霊」なのに、霊じゃないってのはどうかと思うけど。)
話の構成もいいし、色々と興味の深い謎が残るってのもいいね。


そして、また演出がかなりいい!!
「ほんとにあった呪いのビデオ」などの低クオリティ作品なら、


不自然なカメラワークで、窓にカメラを向ける。

異様なものが窓にいる。(異様なものの位置は画面の中心。はっきり見える)

カメラを違う方向に向ける。

また、不自然なカメラワークで、窓にカメラを向ける。(窓の位置は画面の中心)

異様なものは消えている。


となっている。


しかし、本作の場合は、


自然なカメラワークで、窓にカメラを向ける。

異様なものが窓にいる。(異様なものの位置は画面の中心。確実にそこにいるのだが、絶妙な照明やコントラストに依り、撮影者が見逃しても仕方ない説得力がある。)

カメラを違う方向に向ける。

また、自然なカメラワークで、窓にカメラを向ける。(窓の位置は画面の中心ではない。)

異様なものは、まだそこにいる。そして動きに変化がない。(はっきりと異様なもの姿を捉えるが、撮影者が違う事に気を取られてる事が物語上で示唆されているので、撮影者が見逃しても仕方ない説得力がある。)

カメラを違う方向に向ける。

諸事用により、カメラをそこら辺の台に置く。(ここはちょっと無理やり感がある。)

異様なものは、まだそこにいる。そして、撮影者を殺しに動き出す。


となる。

皆さんは、どちらの方に恐怖を覚えるだろうか・・・。
大抵の人は、後者の方が怖いと思うんじゃないかな??


そして何より素晴らしいのが、殺人者の思考が全く読めないって所。
あるデータに依ると、人間は幽霊に対して恐怖するのではなく、不確実なもの、確認しようがないものに対して、恐怖心を抱くらしい。
要は、何だか分からないものに対して、人間は本能的に恐れるようになっている。

だから、明らかな合成や編集、やらせなどの場合は、それが何か分かってしまうので全く恐怖を抱かない。
「ほんとにあった呪いのビデオ」などがいい例だ。

そして、視聴者に恐怖心を抱いてもらうには、やはりある程度のリアリティが求められる。
「ホラー映画は演技力がいらない」といった謎の風潮があるが、とんでもない・・・。
ホラー映画こそ、どのジャンルよりも演技力が求められるのだ。

そして、この話は一定以上のリアリティが確保されており(演技はあんまり上手くないけどね。)、何だかよく分からない殺人鬼を上手く表現している。
つまり、人間が本能的に恐怖する条件を満たしているのだ。

個人的には、「死画像」の中にある「霊感テスト」が心霊投稿作品では一番恐怖したが、この「立ち入り禁止」も結構いい線いってると思う。


ただね・・・。
リプレイ場面を全くカットせず、最初に流れた映像をそのまんま使うのはどうかと思うけどな・・・。

あと、毎度の事ながら、これのどこが復讐なの??



5.美しき河

■ あらすじ

『夫婦の旅行ビデオに、霊界へ引き込む河なのか血だらけの霊が・・・』


■ 感想

あの世への入り口とか三途の川といった設定を上手く活かして構成された話。
ただ、幽霊のヴィジュアルが微妙なのと、カメラワークがワザと臭い為、全くリアリティがなく、全然恐怖心を抱かない。

今回も復讐とは全く関係なし。
いつになったら、本当の意味で復讐がテーマの心霊映像が観れるんだ??



6.恐怖の中古物件

■ あらすじ

『新婚が内覧で撮影した動画に映る奇怪な女。
物件にも不動産屋にも関係の無い者にまで迫る姿が動画に・・・』


■ 感想

幽霊のヴィジュアルはかなりいい。
役者なり生身の人間がただ睨んでいるだけなのだが、やはり下手にオドオドしいメイクをするより、普通のメイクで照明で恐ろしさを表現した方が怖く見えるな。

相変わらず、復讐ではない。
どうせだったら、悪徳不動産屋が呪われて欲しかったな。
だったら、復讐になったのに・・・。
ポルりん

ポルりん