佐藤克巳

五人の兄妹の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

五人の兄妹(1939年製作の映画)
4.5
木下恵介脚本を得て吉村公三郎監督作品初期の秀作の一本。マッチ工場を経営する父藤野秀夫が自殺して、長男笠智衆が、家族の責任を一身に背負って頑張り抜く人生ドラマ。次男日守新一は世帯を持つが、選挙の利権屋で危ない橋を渡り、三男伊東光一は大陸でお国のため身を捧げる。母葛城文子は菓子店を営むが、笠が模範的職工で一家の大黒柱。工場勤め末っ子大塚君代の嫁入り、学費が掛かる大学生四男磯野秋雄の卒業を心待ちにしていた。やがて大塚に縁談話、磯野は血を売って古本を買う暴挙、日守は選挙違反で逮捕される等があっても、マッチを擦り自己奮起して揺るがず長男の責任を全うする笠の美談に涙が出る。更に工場長大山健二の善意でまた泣かせるテクニックの城戸イズム本領発揮の一作。
佐藤克巳

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