似太郎

やくざ観音・情女仁義の似太郎のレビュー・感想・評価

やくざ観音・情女仁義(1973年製作の映画)
5.0
個人的に神代辰巳のベスト(思い入れの強さ)は『恋人たちは濡れた』なんだが、田中陽造のシナリオを得てアブノーマルさに拍車が掛かったこの映画も忘れ難い。

随所に流れるあがた森魚の曲が「当時!」という感じでムード満点。小島剛夕とかガロ系の漫画を読んでいるかのような錯覚に陥る。やはり当時の劇画と日活ロマンポルノは切り離せない関係があるようだ。

よく考えりゃ石井隆だって劇画作家だし、イマイチ「実写映画感」が無いんだよね。全編「和」のテイストが濃厚なフィルムノワール兼ポルノ映画といった趣で、映像のアイデア満載なので飽きずに楽しめる。

しかし本当に独創的なポルノ映画。一歩間違えるとゴダールスレスレになってしまいそう。血縁関係と因縁にスポットを当て、地獄巡りをする男女二人の行く末は!?

う〜ん、やはりこれは元ネタは『気狂いピエロ』なんじゃないかなぁ。神代辰巳の狂気、というかポストモダン臭が凄く出ている逸品。
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