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ペコロスの母に会いに行くの&yのレビュー・感想・評価

ペコロスの母に会いに行く(2013年製作の映画)
4.0
【2013/11/21:ユーロスペース】近年、介護や認知症をテーマとしたいくつかの作品を観たが、(「しわ」すごくよかった)、介護“する”側が「ボケるとも悪かことばかりじゃなかかもしれん」と、老いを否定しない答えを見出す作品て少なかった気がする。
どんなに辛く苦しい状況下においても、ユーモラスな瞬間というのは必ずあって。原作の岡野さん=劇中のペコロス息子は、その瞬間を増幅することに長けている。そここそが、この作品の“幸せ感”を生み出す装置となって、作品全体の印象を決定づけてるのかも。
みつえさんの過去のパートと現在のパートの絡ませ方、美しい情景を捉えたカメラ、岩松了さんの芝居はほんとうに素晴らしく、赤木さんも可愛いらしい(メイクとヘアスタイルが常にキマリすぎなのはちょっと違和感あったけど)。竹中直人の件は出オチ感ありすぎて萎えたが、このくらい過剰にコメディ要素を入れた方がクライマックスが活きるのかな。
あの映画的な、美しいクライマックスには文句のつけようもないが、ひとつだけ要望するなら、原田貴和子扮する若かりし頃のみつえさんをあの場に呼んであげたかった。そして、今のみつえさんが、あの頃のみつえさんを「がんばったね」って抱きしめてあげてほしかった。その方が映画として云々…じゃなくて、彼女らの人生にそのくらいのご褒美をあげたいと思ったから。
心から、愛おしい映画でした。涙。
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