夜行列車に乗ったカリート

蠢動 -しゅんどう-の夜行列車に乗ったカリートのレビュー・感想・評価

蠢動 -しゅんどう-(2013年製作の映画)
2.5
武士が戦うことの意義を問う、硬派な時代劇…
にしたかったのだろう作品

因幡藩が蓄えた助成金。その内情を探るために公儀から剣術指南役が遣わされる。
藩の存続を死守するため、因幡藩家老はその指南役を斬ることを決意するが、はたしてどうなるか…というのがストーリーです。

脚本は良かったです。
藩の存続を第一とする家老、藩に忠義を尽くす原田指南役、純粋に剣術を求める藩士香川といった面々が主要人物で、それぞれは各々が志す義のために動いています。
我欲で動いている者が一人もおらず、誰も悪役ではない、という所に好感が持てます。

主たるテーマは、正義はどこにあるのか、というもので、指南役暗殺の下手人に仕立て上げられた香川を斬ることは、はたして義なのかどうか、というのが考えさせられます。

ただ本作、映画としては物足りなく感じます。
その理由はいくつかありますが、まずは説明調である点。
最初から最後まで何が起きているかを、登場人物の言葉やシーンを通して、視聴者に全部説明します。
なので物語全体が淡白です。

また、各登場人物の描き切りも足りないと感じます。
各人がなぜ自分の義を重要視しているのかあまり分からず、感情移入に欠けます。
この辺りは演者の表現力もあるかもしれません。

いい作品になり得たかもしれないのに、もったいないなといった感じです。