数回の離婚はあたりまえなハリウッドにおいて、1人の人と死ぬまで添い遂げた人というのは珍しい。自分が知るかぎりではジェームズ・スチュアートとロバート・ミッチャム、そしてジョエル・マクリーがその珍しい人間なのだが、今作ではそのジョエル・マクリーが奥さんのフランシス・ディーと共演している。
……というのが珍しくて見てみたのだけれど、いや、じんとさせる良い映画だ。最初の呑気な強盗シーンからこうなるとは思わなかった。結婚して十数年目のマクリー夫妻のアンサンブルもさることながら、共演のジョセフ・カレイアのキャラクターが何考えてるか読めなくて良い。あと序盤のクソガキのクソガキ感がたまらない。
終盤の小屋でフランシス・ディーをとらえたショットは本当に抒情的で、思い出すだけで泣けてくる。それに比べるとジョエル・マクリーはちょっと人畜無害感がある(まあそういうキャラだが)。良いときも悪いときもあるアルフレッド・E・グリーン監督だが、この小屋での一連の流れは最良の部類に入るのでは。