ヨスミ

the fighting men’s chronicle エレファントカシマシ 劇場版のヨスミのレビュー・感想・評価

3.7
エレカシの2013年「復活の野音」ライブまでを追ったドキュメンタリー。
2012年10月に急性感音難聴を発症し、翌年10月の野音ライブで活動を再開したので、復活の野音と呼ばれている。

そもそもこんなデリケートな時期をドキュメンタリーで追えたのがまずスゴイ。

『復活の野音』ライブDVDとセットで見て、RAINBOWのアルバムが大好きになりました。『なからん』と『RAINBOW 』が同じアルバムに入ってるのが痺れる。
ちなみに『なからん』のリハ版を聞けるのでこのドキュメンタリー、ありがとうという気持ち。「我が心、もはや楽しき時なからん」て歌詞、この時期の宮本さんを考えると心えぐられる。

なにより、この時期はヘビィスモーカー!の宮本さんが禁煙始めた時期なので、禁煙vs宮本浩次が見れるのは嬉しい!!!
石くんに煙草貰おうとしたり、煙草を根元折って捨てたり、演出ではなく地でタバコやめようと四苦八苦してるのがめちゃくちゃ人間臭い!!!
宮本さんは強いイメージがあるけど、そもそも人間的な弱さを認めた上で強くなろうとしてるってとこが最重要なので、この映像は励まされる。

宮本さんがメンバーを怒鳴るんだけど、耳が本調子ではなくて手探りで演奏しててそれに苛立ってる感じ。メンバーも宮本さんの耳を心配しててギクシャクしている。
もちろんパワハラではあるし、バカってめっちゃ言うし、暴言祭りである。
それは良くないけど、きちんとこの宮本さんも見た上で曲聞かないとなあと言う感じ。
特にドラムの富永さんがボコボコに怒られてるけど、宮本さんのこと一番心配そうにしてたのが印象的。
ちなみに宮本さんがライブでドラムに向けてマイク投げつけてるライブ映像をこの間見て怖くて震えました。
永井荷風、森鴎外の影響受けてて過去曲は女性蔑視な歌詞があったりするので(この人のこと好きって言っていいのか?)て思う。
でもそういうとこは良くないと思ってる前提で、宮本さんの不器用でまっすぐな所が魅力的で好きです。

成ちゃん(ベース)にも怒るんだっていう発見。そして成ちゃん、指めっちゃ綺麗だなという発見。

前半は過去の歴史で、後半はリハ中心、この前半後半のメインパートと並行して、草野マサムネや横山健、大根仁などエレカシファンの人たちのエレカシ思い出話が挟まれる。
横山さんに関してはこの数年後にソロで宮本さんの曲を作ってるから激アツ。
大根さんもソロ「ハレルヤ!」でPV作ってるし、宮本さんの周りにはほんと人が集まるのだなあという感じ。なお、ソロのPVはハレルヤ!が一番エレカシファン心をくすぐる名作になっていると思ってる。
マサムネさんの「宮本さんに怒られにライブ行ってる感じ」ていうのがマジソレナっていう共感大セール。

復活の野音のドキュメンタリーなのに蔦谷好位置さんとヒラマミキオさんのコメントがないのが残念だった。
エレカシってもちろん初期メンバーの4人はもちろんだけど、宮本さんはサポートメンバーも含めて毎度「エレファントカシマシでした!」て言うから、中盤のリハの様子垂れ流しの部分にサポートメンバーのコメントとか入ってたらよかったのにー。

エレカシ4人のリハと、サポートメンバーが入った時のリハの空気感の違いは少し見れてよかった。サポートメンバー入ると宮本さんの笑顔多くなるのが人間関係のバランス的に面白いよね。サポート含めたリハだと石くんをイジったりしててなんかそういう第三者に見せたい気持ちみたいのもあるんやろなと思った。

バブル期の渋谷の交差点でもっさいエレカシメンバーがつまんなさそうな顔して立ってる動画、マジでいいよね。このドキュメンタリー初出しではないけど。
ツェッペリンのメロディで永井荷風の文を歌いたいっていう発言。エレカシだなあという感じ。

2022年31本目(14)
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