Jeffrey

ビリティスのJeffreyのレビュー・感想・評価

ビリティス(1977年製作の映画)
3.0
「ビリティス」

冒頭、寄宿学校の学期末の数日。そこに女性と男達の姿、ビリティスと言う美しき少女の存在、夏休み、南フランスのプロヴァンス地方、高台の家、牧場、12世紀風の豪邸、サド的な異常な関係。写真家、海、再会。今、大人の女性の美しさに惹かれてゆく少女の美の官能が映し出される…
本作は1977年にスチールキャメラマンのD.ハミルトンの監督第1作にして最高傑作の呼び声高い1本である。

この度、BD化され鑑賞したが、官能的なドラマである。まず素晴らしいことに音楽を担当しているのは私が大好きな「白い恋人たち」などの巨匠フランシス・レイである事だ。

この思春期を迎えた美少女がレズビアンの世界に引き込まれていく幻想的な映像美とひと夏の体験の過程を描ききった点は良い。


本作は冒頭からファンタジーのような優しい音色の音楽と共に妖艶な姿でベッドに座る1人の美しき少女の姿を捉える。そして彼女のクローズアップ(少女は微笑むが悲しそうな表情もする)。そして様々な静止画のカットバックが挟み込まれ、少女のクローズアップに戻り、思いっきり彼女が笑顔になる。どうやら好きだった男性を思い出しているようだ。

そして鏡に向かってキスする静止画が映り出してタイトルロゴが出現する。そこからも官能的なエロスを漂わせる数枚の静止画が繰り返し流される。そして映像が動き出し、主人公のビリティスが演劇をしている(周りには少女たちの姿、野外である)。そして数人の女性たちは美しい自然の中を自転車で疾走する。


そして海に到着して、少女たちはそこで洋服を脱ぎ捨て、裸になる。そして海で泳ぎ戯れる。女性教師は日傘を砂浜に差し読書、ビリティスと一緒にいる少女は座りながら風景を眺める。他の女の子たちは水を掛け合いながら遊んでいる(終始、フランシス・レイの音楽が流れる)。そして自らのおっぱいを競い始める。


続いてのカットでは、若い男性(青年ルカ)がフレーム内に移りだす。彼は少女たちを写真に捉えようとしている。そしてビリティ子は朝の男性を見つめる。続いてのカットでは、彼女がポッケから出したのは小さな亀、それを隣に座っている少女と楽しそうに見て触っている。彼女は上にそっとキスをして逃す。


続いての描写では、ボロボロのバイクに乗ったルカに木の上からパチンコを使いパンくずを彼の顔面に命中させる。見事にあたり、彼は止まりびっくりする。そして彼が木の上に登り彼女の傍へ。そして彼は"君に惚れたキスする?"と彼女を半ば茶化すように笑顔で話す。彼女はをしてみれば"と挑発的に言う。彼はにこやかに木の上から降りて、バイクに乗り去っていく。ビリティスはパチンコを投げ捨て悲しそうな表情をする。


続いて、カットが変わりビリティスとその友達の少女が寝ている寝室へ。ビリティスは彼女にルカがキスをしようとしたと告白する。友達は"あなたルカに恋をしているのね"と伝える。そしてその少女が裸になり、ビリティスの洋服の下から体を触り、2人は半ば愛し合うように触れ合い始める(接吻など)。そして文化祭の話をする教師たちの描写へ変わる。


続いて、先日ルカに撮影してもらったモノクロ写真が女性たちの食卓に配られてみんな笑いながらその写真を見る。そして文化祭の演目の1つである演劇が教師たちの前で披露される(保護者も)。カメラマンのルカの姿もあるため、彼女は少しばかり緊張している様子である。結局うまく自分のセリフが言えずに、バックヤードに戻ってしまう。


そして彼女の父の親友の娘メリサと彼女の夫のピエールと3人でバカンスに行く。彼の運転で車に乗り、到着した大きな豪邸。そこで3人はぎこちなくディナーをする。そして食事も終わり、ビリティスがメリサが脱いでいる姿を夜の外から観察する(彼女はメリサと同じ真似事をし、洋服を脱ぎ、髪の毛をいじる)。そして夫とベッドの上で愛し合う場面にも遭遇。


そして彼女は服を脱ぎ、巨大な木の上に登り、詩的に自らの体のことを話す。小枝を触り、小枝に顔を擦りつけキスをする。続く、カメラは豪邸内を移動撮影し、様々な生活用品(家具)などを捉える。

そしてメリサと2人で浜辺に行き、水着を試着して共に海の中に手を繋いで入る。そこで姉妹はいるの?など様々な質問するビリティスの姿がある。彼女は半ば凍えながら真っ赤なテントの中に入り、水着を脱ぎ裸になる。それを青いタオルで懸命に拭くメリサの姿、カメラはビリティスの胸元をクローズアップ、官能的な接吻の描写、エロチシズムが爆発する場面である。


続いて、夜の豪邸内で、チェスをする夫婦とビリティスの姿。そしてカメラマンのルカに手紙を書く彼女、書いてる最中に窓の外からメリサの喘ぎ声が聞こえて、それを窓から覗き聞く彼女。カメラは夫婦のセックスシーンと窓際にいる彼女のクロスカッティングをする。そして翌朝、ピエールが車に乗り出かける描写、裸のビリティスが体を洗っている。そこにメリサが現れ、机の上にあるルカ宛の手紙を盗み読む。


そして2人は海に行き、そこに佇む一見の青い家の中にはルカの姿があり、2人は久々の再会をする。その後、浜辺でアイスクリームを売っている屋台でアイスを購入して彼女が食べる。そしてメリサについて語る。そして音楽が鳴り始めて2人はその海沿いでかけっこをしあったり戯れる。それをロングショットで捉えるカメラ。

2人はにけつでバイクに乗り、メリサの旦那ピエールが乗馬をしている場所まで行く。そこで夫の浮気を見てしまう2人…。ここから物語は急展開し、男性のルカとのひと夏の恋心、大人の女性とのひと夏の恋心が官能的に写し出されていく…


さて、物語は寄宿学校から父親の知り合いの娘メリサの夫のバカンス先の豪邸にビリティスらが向かう。そこで大人の女性に魅了された彼女は寄宿学校で記念写真を撮ってくれたカメラマンのルカと言う青年にも恋をする。今、彼女の恋心が様々な変動とともに映されていく…と簡単に説明するとこんな感じで、音楽と映像が幻想的で美しい。

ワンショット、ワンショットが絵画のように芸術性に満ちている。




この作品冒頭から流れるフランシス・レイの音楽が最高に素晴らしいんだよ。ずっと聴いてられる。一昨年に亡くなられてしまって非常に残念だ。

正直、ビリティスを演じたパティ・ダーバンヴィルはそこまでかわいいって言うわけではない。少しばかり大人びた表情があるからだろうか、少女って言う感覚があまりしない。メリサ役のモナ・クリステンセンは非常に美しいのだが、たまにロンパってるような目をしてしまうところがある。といっても顔の骨格、プロポーションともに素晴らしい。

ルカ役のベルナール・ジロドーはハンサムで、この作品では非常にユーモラスな人柄が映っている。フレンチポルノにはよくこういった青年出てくるんだけど、みんなナイーブなハンサムな顔している。


それにしても2人の女性の裸体を絡ませる妖艶なシーンはすごく魅力的である(音楽が素晴らしいし)。妖精のひと時を彷仏とさせる(妖精を見たことがないが)。

この作品フレーム内に入る青い海の家らしき木材建築とバックにコバルトブルーの海の描写を捉えたフレームがあるのだが、それがとても美しくてすごく気にいっている場面である。
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