切なくも心温まる、美しい恋愛ストーリーでもあり、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を背景に、胸を貫くような衝撃の事実もあり。
素晴らしい作品でした。
物語は・・・
戦争で夫をなくしたジェンマは、旧友からの連絡を機に、子供を連れて夫との思い出の地へ。
夫との出会い~恋愛していた戦時中の時代と、16歳の子を持つ親である今の時代とを行き来しつつ、少しずつ過去が明かされていく。
かつては、素敵な恋愛を経て結婚し、子供が欲しくて堪らなかった夫婦だった2人。
あれこれ試すも、なかなかうまくいかないところに、突然やってきた戦争。
ここから物語は大きく転調する・・
ショッキングだったのが、夫であるディエゴのキャラ。
出会った頃は、絶対に心折れないだろ!ってぐらい明るくて陽キャで、愛おしい性格だったのに。。
戦争を通してだんだん口数が減っていき、ジェンマへの愛情も露骨に薄れていく。
実はそれは戦争が一番大きな理由ではなかった。根底にあったのは強い自己嫌悪。
いやー、これは辛い。
例えが合っているかわかんないけど、仕事で鬱病になる過程にも似てると思った。
人間そんなに強くない。
身近な人の苦痛が自分の責任だと思ってしまったとき、優しい人ほど耐えられない。
そしてそんな自己嫌悪に包まれた自分が、さらに多くの人の迷惑になっていると思い込み、更にドン底へ。
ただね、人生辛くても生きていかないと。
生きていれば、きっと良いことあるのよ。
本作でも、最後はこっちの心も救われて良かった。
犠牲を伴いつつも、戦争のない、新しい時代を象徴するような印象的なラストだった。
戦争、恋愛、親子。
このテーマならいくらでも素敵な作品が生まれるんだね。