海老シュウマイ

舞妓はレディの海老シュウマイのレビュー・感想・評価

舞妓はレディ(2014年製作の映画)
1.0
その節はウチの妻が大変お世話になりました。オープニングの印象的な「願い事」歌唱シーンで一気に引き込まれました。

ところで周防監督、
「ピグマリオン」が階級社会へのアイロニーを含むのは最低限の常識ですが、本作だと京の花街文化に対する批評的視点はありましたかね。
どうやったって少女の人身売買臭を消すことができないわけで、お座敷デビューしてめでたしにはできないと思うんですよね。そんでポッシュな大学教授に恋してるー!ってどうなんですかね。

そもそも青森出身の方言少女を、コックニーアクセントの労働者階級には読み替えられないし(なら青森県民や地方出身者全員に謝れよって話)、目指すべきRPが単なる一地方の京都弁ってなんだかなぁ。NHKのアナウンサーが京都弁使うならまだしも。

確かに現代日本では、身分階級も職業の貴賤も見えにくくなっていて、このお話をやりにくい状況にはあると思いますよ。
それならいっそのこと、時代も遡って花魁とかで良かったんじゃないですかね。花魁の言語文化も特殊らしいですし。

あとラスト、実は花街文化の血筋でしたーとか、結局、血統主義すか?彼女の努力は全否定なんですかね。
そして、その努力と成長の証が「男の嘘を軽くいなせる逞しい女性像」すか…
鹿児島って妻の出身地なんですよね、あえてやってるのか、気が利いてるでしょ感出されても。

これ、女性の自立うんぬんというよりも、そもそも人間としての成長、自己実現としてそれでいいのかって考えないもんですかね。

要するに、ミュージカル演出の欠陥よりも、このお話、企画に決定的で重大な欠陥がある気がしますよ。

あっ、でもウチの萌音をまた使ってくださいね。