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悪の法則のfujisanのレビュー・感想・評価

悪の法則(2013年製作の映画)
3.7
『悪の法則』からは、絶対に逃れられない。

2013年のリドリー・スコット監督作品で、賛否がはっきり分かれる映画と聞いていました。

コーエン兄弟の映画「ノーカントリー」の原作『No Country for Old Men』を書いたコーマック・マッカーシーが描き下ろした脚本ということでも注目の作品でしたが、大衆に迎合せず容赦のない映画を撮るリドスコ監督の作風との相乗効果もあって、なかなか強烈な映画になっていました。

「ノーカントリー」で異彩を放った悪役シガーを演じたハビエル・バルデムが本作に出ていたこともあってか、無情感漂う哲学的な雰囲気。さらに舞台はアメリカとメキシコの国境で、「ボーダーライン」と同じ麻薬マフィアものとくれば、嫌な予感しかしません😓

さらにさらに、同じメキシコものの「ニュー・オーダー」にも通じるような全く救いのない展開で、これ、体調悪い時は絶対に観ないほうがいい映画だわ、と思った次第です😑


ストーリーは、マイケル・ファスベンダー演じるカウンセラー(法律顧問)の男が、たった一つ、調子に乗った誤りの判断をしたことによって、幸せの絶頂からこの世の地獄へ一直線に転がり落ちていく話。

冒頭は、ペネロペ・クルス演じる恋人との、これAV?って思うほどのベッドシーンから始まりますが、ここをジェットコースターのてっぺんとして、エンディングはそれこそ地面にめり込んでいるような落差です。

これだけ書くと、誰が観るのこの映画、ってことになるかもしれませんが、本作が「ノーカントリー」と同じくカルト的な人気を誇っているのは、『人生って映画みたいに上手く行く訳無いやん』っていうリアルな無常観に共感できるところと、

敗者復活やどんでん返しもなく、ちょっとした判断の間違いから、ただただ堕ちていく話は、道を誤るなという教訓を与えてくれているのかなと思えるところで『因果応報』という言葉をこれほど身にしみて感じた映画は無いですね。


本作は、マイケル・ファスベンダー、ブラッド・ピット、キャメロン・ディアス、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデムという超豪華キャストであることも見どころの一つ。個人的にはキャメロン・ディアスの怪演が印象的でした。

最後にもちろん、コーマック・マッカーシーの脚本の素晴らしさ。

今回観終わってそのまま半分ぐらいまで観直したのですが、映画の序盤から様々な形で『警告』が発せられていたことに気づき、精緻な脚本に恐ろしくなりました。

男が恋人のために買うダイヤの指輪の意味、一度スイッチを入れると止められない殺しの道具『ポリート』など、全てが破滅への伏線、暗喩となっていて、怖くなって再視聴は中断しました😣

ということで、いつかもう一度観たいと思いますが、しばらくは近づきたくない映画でもありました・・・😓

繰り返しますが、
・「ノーカントリー」、「ボーダーライン」、「ニュー・オーダー」あたりが好きな人は好きかも
・でも体調が良いときに観るべし
という感じです。


余談:
今回通常版を視聴しましたが「特別編集版」は残虐な(あの)シーンがカットされてないらしいです。こんなん、一生観れないと思います😣




2023年 Mark!した映画:297本
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