ヤスマサ

悪の法則のヤスマサのレビュー・感想・評価

悪の法則(2013年製作の映画)
3.5
軽い気持ちで危険な仕事に手を出した弁護士が、破滅へと堕ちていくクライム・サスペンス。
弁護士のカウンセラー(マイケル・ファスベンダー)は、ライナー(ハビエル・バルデム)、ウェストリー(ブラッド・ピット)と手を組み、麻薬ビジネスに手を出す。

一見、救いのない嫌な映画だ。
台詞の多くは、これから起こることを示唆するようで、教訓や戒めめいて聞こえる。
「悪の法則」とは原題とは異なるが、上手く付けた邦題だ。
観ている者には、トラブルの原因がマルキナ(キャメロン・ディアス)によって仕組まれたことだと序盤から分かる。
つまりこの映画は、トラブルの顛末というより、カウンセラー始め、そこに関わる人たちが追い詰められる様をメインに描いている。
カウンセラーは、一旦麻薬ビジネスに手を着けた以上、最悪の事態も想定していなければならなかったのだ。
しかし起こったことを後悔したり、無関係だと嘆いたりすることは無意味だ。
必要なのは、現実を受け入れることと解いている。
いわゆるニヒリズム(虚無主義)で、この映画のテーマでもあるようだ。

国や環境によって照明を変えるリドリー・スコット監督らしい手法が、淡々と進むストーリーに異様な雰囲気を出し、更にBGMが更に不穏な空気を演出している。
胃がキリキリするように追い詰められるカウンセラーに、嫌でも感情移入してしまう。
後味が悪く疲労感ばかりが残り、振り返ることは無意味だと言われても、再度見たくなる作品。
ヤスマサ

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