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ヴァン・ゴッホ~最期の70日~のメルのレビュー・感想・評価

3.8
フランス人監督モーリス・ピアラの描くファン・ゴッホ死の間近の日々。

あの「耳切り事件」の後、精神病院で1年間療養してパリ近くのオーヴェールに移り制作に打ち込もうとする。

この作品の中のファン・ゴッホはハリウッドがカーク・ダグラスで描いたものとは大分違い、とても落ち着いているし、女性にはモテるし、物事を理論的に考える事ができる人間となっている。
そして生涯彼を支えた弟テオとの関係も少し複雑に描かれている。
テオは妻であるヨーに「ヴィンセントの絵が嫌いだ」と言っている。

監督がこの作品で言いたかったのは「ファン・ゴッホは決して狂っていなかった。そして、ゴッホの絵は売れなかったのでは無く画商である弟テオが売らなかったのだ」という事だ。

それはピアラ監督のファン・ゴッホへの敬愛の表れかもしれない。
狂った人間にあんな素晴らしい絵画が描けるはずがない…という。

今作のファン・ゴッホは身なりも比較的綺麗だし、キャバレーでダンスも踊り娼婦を買い、少女とのロマンスまで…(ここは多分創作)

色々な点で今までのファン・ゴッホのイメージと違うけれど、手紙や残っている資料をどう解釈するかの違いなのでしょう。

ファン・ゴッホ役はジャック・デュトロン。奥さんはフランソワーズ・アルディで昔ヒットしたフレンチポップの歌手。( 個人的にはこれも驚き )
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