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ルノワール 陽だまりの裸婦のnaomiのレビュー・感想・評価

3.6
西洋絵画の中で誰の作品が好き?と訊かれたら迷わず”ルノワール”と答える。
彼の代表作の多くは人物画であり、親友だった光の風景画を極めたモネとよく比較される。

最も有名なムーラン・ド・ラ・ギャレットは当時パリ・モンマルトルでダンスや談笑を楽しむ人々を描いた作品。当時、彼の恋人だった女性・マルゴが左側に男性とダンスをしている様子が描かれていて、彼女の甘えるような顔が印象的だった。愛する恋人ルノワールだけに向けた、はにかむようなマルゴの表情をそのまま描いているよう。ルノワールの作品は、暗い色やネガティブな気持ちは一切感じさせない。明るく幸福に満ちている。それは描く被写体が変わってもブレない。

この映画は、最晩年に手がけた傑作”欲女たち”に纏わるエピソードから成る。モデルは息子ジャンの最初の妻となるアンドレ・へスリング(通称デデ)。
リュウマチに侵され、身体の自由がきかなくなっても衰えない作品に対する意欲には胸を強く打たれる。
光に当たったデデや女性の肌が本当に美しかった。胸の形も綺麗の一言。
ルノワール一族には、デデは嫌われていて彼女の話はダブーらしい。ジャンとの出会いから恋愛に至るまでも物語に練りこまれていてドキュメンタリーを観ている感覚にもなった。
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