イチロヲ

O嬢の物語のイチロヲのレビュー・感想・評価

O嬢の物語(1975年製作の映画)
3.5
サディスティックな恋人により城館の一室に監禁された娘が、隷属の歓びを開花させていく。1954年にフランスで出版された同名小説を映像化している、エロティック・ドラマ。筆者は原作を読了済み。

原作者は匿名の覆面作家だが、後にドミニク・オーリー女史であることが判明。女性の視点から「主人に隷属する歓び」「性愛の多様性」「女性の幸福論」が描かれており、人種や信仰にとらわれない、絶対普遍のエロティシズム論が根底になっている。

原作の特徴とされている「五感を研ぎ澄ました主観描写」が反映されていないが、これは原作付きの映画に付随するものなので、とくに揚げ足を取るほどではない。基本的には原作ベースであり、文芸的かつ背徳的な雰囲気作りに成功している。

主人公の「O嬢」を演じているのは、セクシー女優のコリンヌ・クレリー。女体の曲線美こそ説得力抜群だが、撮影時すでに子持ちであり、歳も取っているので、原作のイメージ通りとは言い難い。全体的に「良いところもある、悪いところもある」という印象。
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