さらに悪いことに、上記の前提知識とは関係なく、邦題が招く誤解が鑑賞者の評価を著しく低下させてしまっているように思う。『シークレット・オブ・マイ・マザー』という邦題は、いかにも原題(や英題)をそのまま用いているように見えるが、原題は Americano である。(原題の意味は映画の後半で分かる。)母親の秘密なんてタイトルがついていれば、息子が知らなかった母親の秘密や素顔が徐々に明らかになっていくというサスペンス風の映画を期待するだろうが、本作はそんな映画では全くないし、そもそも母親の秘密などと呼べるエピソードは出てこない。おそらくこのような不一致が Filmarks などでの評価の低さにつながっているのだろう。監督の意図を全く無視したような題目を勝手に付けてしまう無神経さには怒りすら覚える。こういう安易な仕事をする人や会社・団体は映画界から退場してほしい。