喜連川風連

夢と狂気の王国の喜連川風連のレビュー・感想・評価

夢と狂気の王国(2013年製作の映画)
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「自分のかけがいのないものを大切にしたい人は、ここに来ない方がいい」

「宮崎駿さんは、若いエキスを吸って自分の力にしている」

アニメという夢を背負った狂気の王国、スタジオジブリ。

しきりに映される狂気のスタジオに迷い込む猫。砂田監督自身、猫に自己投影していたのかもしれない。

狂気の王国に迷い込んだ無垢の存在がジブリをどう切り取るのか。

並のドキュメンタリー映画では、語り手にフォーカスしがちだが、語った後の周りの反応、相手の表情を意図的に写す。

宮崎駿さんが庵野秀明に声優を決めた時の録音スタッフのなんとも言えない表情がたまらない。

加えて実景の挟み方がとても良く、インタビューと同じくらい饒舌に語っていた。説明的になりがちなドキュメンタリーにあって、考える余地の多い映画。

エンドクレジットの脚本・砂田麻美がいい。ドキュメンタリーであって、ドキュメンタリーではないことを宣言した不思議な映画。
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