うたまるさん

パニッシュメントのうたまるさんのレビュー・感想・評価

パニッシュメント(2013年製作の映画)
3.1
面白い!
好きだなぁ〜このストーリー。

いやぁ、全くノーマークでした、この映画。
TSUTAYAで何気なく借りて、何気なく鑑賞したら私の好みのストーリーでした。

この作品の特徴は、群像劇。いわゆるグランドホテル形式の映画です。
一つの場所に集まる人々のそれぞれの物語を視点を変えながら見せていく内容です。
この映画のスコアーがいまひとつな理由として考えられることは、その群像劇であることを気づかれるまでに時間がかかることやそれまでの間のセリフがどれも抽象的で、現在何を見せられているんだろう?と軽い浦島太郎状態で淡々と物語が進んでしまうところがあり、その辺りが低評価なのかな〜なんて感じたりします。

まぁ、そうは言っても、私が好きなのはグランドホテル形式の撮り方というよりもストーリー全体の部分です。
今作品は、アメリカのあるスラム街での出来事。
貧困層が多く住む街の抱える問題を色々な角度から見せている。
一見、まるで関係なさそうに見える出来事もその裏側では大きく絡み合っていて、さらにそれらはほんの些細なことがまるで糸を紡いで太いロープになっていくように大きく膨れ上がってしまい、取り返しのつかないことになってしまうもの…。

今作の原題は「パワーオブフュー」で、フューという少女が起こした不思議な力とも言うべきオチになっているのだが、私個人としてはそこがなんともファンタジーのような印象でたまらなく好き!

どんな人にも嫌なことは存在して、それはちょっとした小さな出来事から起こるもの。
それを食い止める力やそれを自制する力は誰にでもあり、それこそが大きな負の連鎖すら止める一歩にもなり得るものなのだとのメッセージ性を感じる。
普段平和な日本で暮らしていると想像すらできない貧困層が住むとある町の出来事に思いを馳せ、これは映画の中だけで起こっている問題ではないことを想像してみるのも決して悪くはないと思う。

深くて重い素材を、まるで哲学者のような物言いで諭す少女フューの魅力に取り憑かれたい人は、前半部分のダラダラ感を我慢しながら是非見てみて!
オススメの逸品です。
うたまるさん

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