カレーをたべるしばいぬ

呪界のカレーをたべるしばいぬのレビュー・感想・評価

呪界(2013年製作の映画)
1.1
ドキュメンタリーは本来演技を必要としないため、モキュメンタリーは演者の演技力の下手さが悲しいほど浮き彫りになってしまうジャンルだと思う。だからこそ、昨今の同ジャンル作品は「もうギャグに振り切ってしまう」ことでこの弱点を払拭(?)しようとしているし、実際にそれが効果的に作用している場合がある。スタッフ自体をアイドル的に描いたり、おとぼけ回を入れてみたり…。
この映画はそういったお笑いの部分が一切ない上、話の流れがぐちゃぐちゃで追うことにストレスを感じる。ストーリーラインが難解な傑作映画は沢山あるが、それらの作品は映像美や奥行きのあるテーマの下で描かれるから深みがあるのであって、この映画は結局のところよくあるB級ホラー的展開しか扱わないのでかなりしんどい。せめて失笑できるような演技の下手さであってくれたら良かったんだけど…。

樹海探索モノで和製ブレアウィッチプロジェクトをやりたいのは分かるが、記録映像とは別撮りの再現映像とインタビューが度々挿入されるため没入感は全くない。再現映像とインタビューは変に間延びしており、話のテンポを落とすことに著しく寄与している。この形式でのストレスフリーな構成と言えば『バチェラー』だろう。彼を見習ってくれ。

"あなたには真実が見えますか?"というキャッチフレーズ。『放送禁止』のような考察モノにしたかったのだろうが、話が余りにも散らばっていて考察の仕様がない。ツッコミどころも多くて考察する気にもならない。丸投げの間違い。何回も観て考察を深めるのではなく、何回も観ないと話の概要が掴めない。

『パイナルファンタジー』の方がずっと面白い。
映画と呼べるかギリギリのライン。