平田一

るろうに剣心 伝説の最期編の平田一のレビュー・感想・評価

4.8
“未来のために”

和月信宏さん原作の同名傑作コミックを実写映画化し大ヒットを飛ばしたシリーズ第三弾。前作『京都大火編』で嵐の海に消えた薫を追って海へと飛び込む剣心を思いがけない人物が救い、彼を鍛えてく。前作のスタッフ・キャストが集結したのみならず、「龍馬伝」の福山雅治さんがシリーズ初参戦。

嵐の海に消えた薫を救いに飛び込んだ剣心は、どこかの海辺で意識を失い、誰かに命を救われる。それはかつて剣心に剣の道を教えた師匠・比古清十郎であった。彼が剣心へ告げたのは、剣心がこれまでひたすら背け続けた“真実”だった。一方、国家転覆を目論む宿敵・志々雄真実は大願の障壁たる剣心を処刑すべく日本政府に剣心を捕えることを要求する。

運命の決闘は、刻一刻と迫っていた―――。

スクリーンで初めて見た時とまったく変わってない感動、興奮と大スケールのアクション、ドラマが詰まってました。漫画原作映画なうえに、それも大概大コケ邦画がここまでやってくれるとは……そもそも前作『京都大火編』から感じたことなんですが、スケール感の扱い方が大友監督は巧いです。オールタイム大河ドラマと断言したい「龍馬伝」で習得したあらゆる技術・手腕を以って表現している、悔恨と怨恨が渦巻く明治初期の日本。死して罪を贖うでなく、生きて罪を背負うことに、そのために必要なのが何かを探し気付く剣心。残り少ない命だから命の炎を燃やし続けることを恐れぬ志々雄真実。この二人を軸にしつつ、見当違いと分かっていても剣心(というより「最強の称号」)を殺さなければ空虚になるのが何より怖い四乃森蒼紫という人間、笑みで誤魔化す二つの意味での依存から解放される瀬田宗次郎という“少年”のリスタートが効いていて、そして至るクライマックスは本当にお見事です。特にラストの剣心と志々雄の咆哮・決着は拳を思わず握りしめるぐらいに見入っていましたね。

サントラも佐藤直紀さんがメチャクチャ気合を入れて、これ以上考えられない最高の曲を揃え、単体の曲としても完成度が高いものをあんなにまで作ってくれて、もうホントに感激です(オススメは「降誕」「奥義~飛天御剣流~」「怒気の矛先」「仇敵」)。当時それをスクリーンで、目と耳で体感できて、全身で堪能できたことが非常にラッキーすぎる。

これでようやく5部作の内の3本制覇です。さて、残る2部作は今月中に見なくちゃな。中でも一番気になるのはやはり『The Beginning』……。どれほどの痛みと哀しみと、物語があるんでしょう……。
平田一

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