Torichock

るろうに剣心 伝説の最期編のTorichockのネタバレレビュー・内容・結末

2.9

このレビューはネタバレを含みます

「るろうに剣心-伝説の最期篇-」

サッカーのグループリーグ戦で、勝ち点ってあるじゃないですか⁇勝ったら4点、引き分けは1点、負けは0点みたいなシステム。
あのシステムって、もちろん試合に勝たないと決勝トーナメントに行けないから、勝つことに越したことはないと思うんですけど、なんか負けなければイイ試合とか引き分けでもオーケーな試合とかも出てくるわけです。
それって、勝負事においてどうなのかという気持ちはずっとあって。

さて"るろうに剣心-伝説の最期篇-"
2012年の第一作目が、大方の予想を覆し、完成度の高さを見せたと思いました。
そして、2014年のるろうに剣心は二部作。
前篇の"京都大火篇"は、第一作目に比べるとアクションの種類も多様化され、魅力的なキャラクターも増え、土屋太鳳演じる操と剣心のアクションとかジャッキー映画みたいで楽しかったり、虚を突くような藤原竜也演じる志々雄真実のセリフ、"ござるとか言ってんじゃねぇよ"やコントレベルの関西弁など、ネタ要素含め、とても見ごたえのある作品でした。(京都大火篇のレビュー参照)
本作は、その続編。
正直、京都大火篇が面白かったので、期待しすぎたせいもありますが、結果的には風呂敷を畳むだけの映画になっちゃったなぁという感想。つまらなかったわけではない、だけど、しっかりとお片付けに走ったせいか、面白みに欠けた感は否めなかったです。
先に述べたサッカーで例えれば、京都大火篇で勝ち点4は取ったから、引き分けでもオーケーみたいな映画の作りをしていたように思えるのです。
剣心が修行を積むシークエンスにしても、テンポが悪くてイライラ。早く終わんないかな、この修行シーンって思ってました。
福山雅治が演じる比古清十郎というキャラがどういうものなのかは知らないけれど、福山雅治という重みのない俳優に、このキャラクターは重かったのではないでしょうか?ただもったいつけた喋り方で子供をボコスカ殴る、性格の悪い嫌な大人にしか見えなかった。それに、教えたことがそれだけかよ!っていう。心構えだけかよ!肝心の技は?見せないのかよー!まぁいいや。
これが、ちゃんと重みのある俳優がキャスティングされてたら違うとは思うんですけど、こういう事務所志向のキャスティングは良くないと思います。
他にも、薫演じる武井咲ちゃん。
あの女、バカですか?なんで大砲バンバン打ち込まれてるところに、"けんし〜ん"って飛び込んでくんです。
お前、何もできないんだから、すっこんでろよ!!
あと最後に一つ。
ラストシーンで、"侍に敬礼!"ってするんですけど...。
僕はですね、自分の身になすり付けられた不幸を、それがたとえ人の道を外れたやり方だったとしても、自分の信念を貫くように政府に歯向かい続け、4人に囲まれても互角以上の闘いを見せ、最後までその炎を燃やし続けた志々雄真実が、もっとも侍なんじゃないかと思ったんですよね。志々雄真実というキャラクターは、剣心(人斬り抜刀斎)の合わせ鏡の存在じゃないですか。剣心もそうなる余地はあったけど、ならなかった。なら、志々雄真実もまた、あそこで敬礼されるべき存在だったと思います。そう思ったから、志々雄真実が悪として片付けられ、政府はなんやかんや話をまとめる汚い部位で話を締めたのは、なんか腑に落ちないんですよね、いや、しょうがないのは十二分に分かってるけど。

文句は続きましたが、"京都大火篇"で、"抜刀斎はどこだー"しか言わせてもらえなかった、四乃森蒼紫が、藤原竜也の志々雄真実のドヤっぷりと二本で、本作の救いだったと思います。
伊勢谷友介の持つ、カマキリみたいな狂気がピッタリハマった配役だと思いますし、掘り下げ甲斐のあるキャラクターであった分、本作では魅力的に映りました。
田中泯の翁が、まだまだ...と超ヨボヨボででて来た時は、本気でゲンナリしましたけど、邪魔だ、どけ!と足蹴にしてくれたのでよかったです。
あと、最後に侍に敬礼!してる警察の中に、テレビ横になりながら観る寝っ転がり方で敬礼してる奴がいたのを、僕は見逃しはしません!
あと、エンドクレジットに、ソファ製作ってあったのに笑いました。志々雄がほとんどソファの上にしかいなかったから、ソファ製作は大事ですからね!

文句はたくさんありますけど、プレッシャーの多い二部作を、完走し切ったことに拍手を送りたいと思います。もう、続編はいいでしょう。
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