たけちゃん

ランボー3/怒りのアフガンのたけちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
神なら慈悲もあるが、彼にはない……


ピーター・マクドナルド監督 1988年製作
主演シルベスター・スタローン


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
本日、7月6日は、我らがスライの74歳のお誕生日。
そうとなれば、レビューするしかありません!


【シルベスター・スタローン】
1946年7月6日、ニューヨークで生まれる。
お父さんはイタリアのシチリアが起源のイタリア系アメリカン。「ロッキー」で自らを"イタリアの種馬"と呼ぶのもこのためよね~。
出産時に産科医のミスで、顔面に障害が残るってのも酷い話。セリフが上手く言えないのもこのためです。
だから、子供の頃は随分いじめを受け、次第に素行不良ともなったようです。

しかし、素晴らしいなぁと思うのは、それで諦めず努力して、今では、それがアイデンティティにまでなっていますからね。僕はアクション俳優としてはシュワちゃん大好きですけど、人間的にはスライの方が好きなんです。
私生活のだらしない人、苦手なので……。

俳優を志してからも売れない日々が続き、ポルノ映画やボディガードをする日々。しかし、モハメド・アリの試合に感銘を受け、あの「ロッキー」を書き上げるんです。
そこからのいきさつは「ロッキー」や「クリード」のレビューでも書いたので、割愛。でも、最終的にはアカデミー賞作品賞まで取ることになり、アメリカン・ドリームの体現とも言われた成功には胸が熱くなるよね( ˘ ˘ )ウンウン


今回はタイミング的にも、やはり「ランボー」一択なので、唯一の未レビュー作「ランボーⅢ」を取り上げましょう( ̄^ ̄ゞ






さて、映画です。
ランボー全5作の中で、一番中身がなく、アクションに特化した作品がこれと言われます。

でも、みなさん、ちょっと待ってください!
作品単体で見ると、そういう見方も間違ってはいないと思いますが、シリーズ全体を俯瞰すると、違う姿が見えてきます。特に、「ランボー ラスト・ブラッド」を見た今となっては。

映画が製作された当時の背景としては、東西冷戦の真っ只中。ソ連軍がアフガニスタンの内戦に軍事介入したことでアフガニスタン紛争が勃発。それをアメリカを始め各国が支援したことにより泥沼化、ベトナム戦争におけるアメリカ同様、ソ連軍は10年に渡り不毛な戦いをすることになるんです。



【閑話休題 : アフガニスタン紛争】
1978年にアフガニスタン人民民主党による共産政権が発足すると、それに対抗する反政府ゲリラ(ムジャヒディン)が組織され、自らの戦いをジハード(聖戦)と位置づけて蜂起。1979年にソ連が軍事介入すると、それに対してもムジャヒディンは抵抗を始める。
それにより、アフガニスタン紛争と呼ばれる10年にも渡る戦争が勃発。
1987年にアフガニスタン共和国が起こり、1989年にソ連軍の撤退が完了。
その後は、ムジャヒディンの中からタリバンが、そして、さらにウサマ・ビン・ラディンをリーダーとするアルカイダが起こることに……。




映画に戻ります。
そんな中での今作なんです。
脚本はスタローン本人。
アフガニスタン紛争当時は、ソ連軍の悪行ばかりが届いてましたからね。ソ連絶対悪。悪の帝国。
後に、ムジャヒディンの中からタリバンやアルカイダが出てきて、アメリカに対しあのようなテロを働くとは夢にも思わなかったですよ。
僕もそうでした。

なので、今作は当時の状況に照らすと、やむを得ない脚本です。だって、ベルリンの壁の崩壊や冷戦の終結より前の話なんですから。
アクションばかりが先行して語られますが、当時としては語る意味のある作品だったのでしょう( ˘ ˘ )ウンウン

例えば、ベトナムでのアメリカの失敗をしっかりと大佐の口で語っているのは、良いですよ。
アフガニスタンでのソ連は、ベトナムでのアメリカなのだから。同じ過ちを繰り返すな!と語っている。


アクションメインと言われた一番の理由は、仕上げ過ぎたスタローンの肉体ですよね(笑)
公開当時は過去の「ランボー」と比べて、腕周りが何センチ違うとか、筋肉の隆起が半端ないとか、主に肉体のことばかり語られてましたもんね。そのストーリーに秘められたランボー=スタローンの思いなどを語るものは、ほとんど無し。


でも、今回、見直して一番感じたのは、やはり、ランボーの戦う意味なんです。

ランボーはひたすら探し求めている
何故、戦うのか?
自分の居場所は?
生きる目的は?
家族は……?


それは結局、答えが出なくて「ラスト・ブラッド」に至るんですよね~。常に戦いに巻き込まれる。その心の痛みが切ないんです。


戦闘マシンのように鍛えあげられ、思考を止めて戦ったベトナム戦争(前提)
戦いを終えても帰る場所を失った自分(第1作)
もう一度国とためと向かったベトナム。再び捨てられるランボー(第2作)
生きる意味を失い、闇格闘技で生を実感する日々。しかし、友情のため再び戦場へ(今作)。
再び隠遁の生活。しかし、縁を持った人を捨て置けずに再び銃を持つ(次作)
故郷に帰り、家族を持つも、それを奪われて修羅と化す(最終作)


そして、一人、生き残る……
何故、俺じゃないんだ……
今作もそんな思いが伝わりますよ。

ただし、確かに大佐奪還後の戦いは、あまりにもソ連軍が無能だし、ご都合主義なのは否めない。
そこは忘れて、後半はアクションを楽しんでください←結局、アクション(笑)

僕は、ランボーが腹に刺さった木片を引き抜くシーンだけでも、本当は満点をあげたいのよ。だって、あれ、CGじゃなく、本物の怪我ですからね。




スライ、74歳の誕生日おめでとうございます🥳👏🎉
まだまだ頑張って欲しいよね~(ˆωˆ )フフフ…