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青天の霹靂のhilockのレビュー・感想・評価

青天の霹靂(2013年製作の映画)
3.0
劇団ひとりの多彩ぶりは、彼がデビューした時から知っていた。いつでも泣ける一人芸、コントのピカ一さ、そして演技、『陰日向に咲く』としての作家性である。その煌めきを体感するために、初監督作品を鑑賞してみました。あれだけの才能を持ち合わせる彼ではあるが、本作は及第点である。理由は3つ。1つは賞味90分ほどの作品でコンパクトに、筋はわかりやすく作っているのだが、それがかえって変化のない単調作になっている。先が読める展開はもちろんであるが、予告編から逸脱しない話の筋である。2つ目は涙腺時間の短さである。 終盤にある親子の会話に、母の惜しみない愛情を感じ涙するという定石があるが、このいいシーンも余韻があればなお深くなるが、会話のみで終わり、感動は一瞬に消え去る。3つ目は、オチである。え?これで終わらせるの?という展開で、人生再生は観客の想像に任せるというなんとも歯がゆいものである。・・・と、作品自体の評価はこのような感じだが、私が特に琴線に触れたのは、どうしょうもないの父親である。私も親父になり、ガキの頃に感じた親父への憤りが、見進めていくうちにすっーと消えている自分がいました。本当にダメ野郎で、不甲斐ない親父の姿を侮蔑しながらも、その不甲斐なさって男だからなんじゃないのかなーとも見進めていくうちに感じました。ミスチルの『放たれる』がまたいいのです。共演は大泉洋、劇団ひとり、柴咲コウ、風間杜夫、笹野高史。★★★また見たいですかと言われれば答えは難しいが、己のダメっぷりを再認識する自己反省映画にはなるなーと。
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