TOHO渋谷
脚本【B】キャラクター【A】音楽【A】演出【B】総合【B】
予告編やあらすじを目にするたびに結局どんなストーリーなんだよとイライラしつつ、シナリオなんてあるようでない妄想癖の男の話だろうと期待薄で鑑賞。
しかし意外にもにテーマはシンプルでメッセージ性が強かった。構成は特に面白くもないがストーリーはわかりやすいくらい明確だった。
それ以上に、やはりこの映画は物語よりも音楽や映像に重点をおいているのだろう。ロケーションは抜群だし、あつらえたようなシチュエーションはもういい意味でベン・スティラーのマスターベーションレベル。スケボーしかり、ヘリコプターしかり。テーマ曲は壮絶な感動すら覚える。
しかもこの作品はよくあるPV映画ではない。なにか独特の不思議な感覚にも包まれるのだ。
それというのも、妄想癖という設定が、観客を映像の全てを疑ってかかる姿勢にさせるからだと思う。現実の境目がわからなくなってしまうし、そもそも映画自体が現実ではないのだからメタ構造的な不安感にあおられる。
どうせ妄想だろうと思って達観してみていると、実はそれは現実で、気がつけば主人公は手の届かないずっと遠いところまで進んでいる。
本当に"変な"気分になる映画だ。