kekq

渇き。のkekqのレビュー・感想・評価

渇き。(2013年製作の映画)
3.6
日本の才能中島哲也監督が送る、超マンガ的ろくでなし暴力エンターテイメント。小松菜奈だけが悪くてみんなが振り回されるお話かと思っていたら、おしなべてみんな悪人でクズでそれはもう大変でした。

できあがったストーリーを何度も切り刻んでシャッフルしたようなザッピング感溢れる映像がとても見づらく、視覚的、聴覚的、心理的に与えられる針のように尖った刺激がリズムを作り、陶酔するような凄まじいグルーヴを叩き出しています。
ティーン向けおしゃれクリップで使われる落書きビデオをあんなに毒々しい悪意で描ける技術とセンスはさすがとしか言いようがありません。

怒り、絶望、嫉妬、愛情、憎悪の莫大なエネルギーを一人の女子高生が嘲笑い、扇動された果てに辿り着く地獄。あの変態クラブですらその表層でしかなかったのではと疑ってしまいます。

惜しむらくは、なんとなく"最後の決闘"みたいな時間を作ってしまったこと。あそこで予定調和の空気が出たのが残念でした。もっとむちゃくちゃの放り投げでよかったのに。

どんなテーマであれガリガリに研ぎ澄ませ、徹底的におもしろ要素を搾り尽くす監督の貪欲さにはいつも驚かされます。
この少し後に「バクマン。」を見たら、サイコーがもうすぐひどい罠にはめられるんじゃないかとずっと心配でした。
kekq

kekq