ここまでこれでもかと人間の醜さが詰まった映画を初めて見た。
率直なところ、
この映画をどのジャンルとくくっていいのかもわからない。
さらに面白いのかどうかもよくわからないのかもわからない。
理性が劇中で微塵も出てこないからか?
裏を返せば、欲望が曝け出されてるからか?
共感できない。
強いていえば、妻夫木演じる警察官の立場で渇きにかられる人々を愉悦するのであれば、話は違うのかもしれない。
探偵モノなら推理、学園モノなら共感や憧れ、コメディなら笑い
というような引っかかるポイントや浄化ポイントがない。
知的なものや綺麗なものが好きな方は苦手の映画かもしれない。
アメリカンなオープニングから想像するにギャング映画、60年代のヒッピー文化へのオマージュだろうか?
内容としては
初めの殺人事件の件から全く展開と終焉が読めず
エンターテイメントとしては面白い。
圧巻であった。
人に愛されることを果てなく望む加奈子。
彼女の「もっと愛するために死んで」の一言に
この娘のよじれと渇望を表しているだろう。(私のために死んで愛を確かめたい)
しっかしまあこれを演じきった役者さんの演技力に脱帽。
迫真の演技とはまさにこの事だ。
渇き=人間の欲望
タイトルを“欲望”とせずに“渇き”としたのが秀逸。
欲望であれば満たされればそれまでの場合がある。
しかし
渇きの場合満たされてもまたその欲求に襲われる。
一人の少女と親父が巻き起こす渇きの連鎖と渦が織りなす物語だった。