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スティーブ・ジョブズ1995 〜失われたインタビュー〜のSariのレビュー・感想・評価

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アップル社の創業者にしてカリスマCEOの名をほしいままに、56歳の若さで世を去ったスティーブ・ジョブズ。その魅力溢れるプレゼンテーションは見る者を虜にし、iPhoneやiPadなどを大ヒットさせる原動力となり、iMac以降のアップルのブランドイメージそのものともいえる。そんなジョブズが、創業したアップルを追われ、新たなチャンスを模索していた1995年に収録されたテレビ用インタビューが、このドキュメンタリー映画の中核を成す。

インタビュー収録は95年。85年にアップルを追い出される形で退社したジョブズが新会社“NeXT"のCEOとしてインタビューを受けている。ジョブズ自身の口から語られる、自らの生い立ち。好奇心旺盛な少年時代、若干12歳でコンピューターに興味を持つ。初めてジョブズが手がけたのは無料電話の開発だった。それからアップルコンピューター1の開発、続くコンピューター2のプロモーションが大成功を納めアップル社を設立、21歳で実業家として成功する。コンピューターの未来とカルチャーについて、機知に富んだ率直な言葉で語られる。

創成期アップルについての昔話は愚痴だらけだが、コンピュータと社会の未来を語る彼の言葉が、ことごとく現実化しているため、ほとんど予言者めいた気配さえ感じられ、自分の描いた未来図に従って、華々しく勝利し続けたと言えるだろう。事実、このインタビューの翌年末にジョブズはアップルに復帰、その2年後に初代iMac、更にその3年後に初代iPodが発売された。
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