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サカサマのパテマのnamikiriのネタバレレビュー・内容・結末

サカサマのパテマ(2013年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

アイ歌とイブの時間ですっかり吉浦監督のファンになってしまったので、本作を観てみました。

これは、凄い!と気づいたのは2回目の視聴からでした。脳味噌がサカサマに追いつかないと、感情が入ってこなかったからです。

アイ歌の時は、感情→ロジック→感情で観ましたが、本作はサカサマで、ロジックを理解する→感情が入ってくるとなりました。そして、またロジックになるのがこの作品のもう一つの楽しみ方だと思います。そこに気づけるかで、映画の評価が変わってしまうほどに。

この作品はSF好きの素養が必要かもなと思い、万人向けって感じじゃないけど、一見ではなく、二見以上の価値ありだと思いました😄









——

ここからネタバレします。


【視聴記録】

1回目はサカサマのギミックや謎を追いかけるだけで精一杯でした。綺麗な生態系が実は造られた環境で、最後に本当の地上が表れた時は驚きでした。

アイ歌でも、思いましたが最後に明かされる秘密が凄いのと、希望を持って終われるエンドが良いですね。反面、ロジカルに考えてしまい感慨深さが入って来なかったです。

2回目にみると、脳味噌がサカサマに慣れてきて、1回目に気づけなかった感情描写に視界が開けるのです。まるで1回目に観た本物の地球に気付いたようにね。

そうすると、ラゴスやエイジの父の交流や、重力への恐怖、パテマが如何にエイジを信じているのかが伝わってきました。

また、本作のテーマであると思われた多様性を受け容れることの大切さ、言い換えると相補性が見えて来て、腹落ちした感じです。

見た目のライトな雰囲気と異なり、非常に深い作品でした。😄

もう一つのネタバレ的な要素について解っちゃったことがあるので、ページ区切ります。

🦇🏜✨
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3回目以降ザッピングして、細かい点を考察すると、この相補性には、実はもう一つ化学的な意味があり、特定の塩基のペアが結合🤝しやすいかどうかという意味がありました。ざっくり言えばDNAが惹かれ合うということなのかな😄

・https://enginetrouble.net/2016/12/how-does-string-represent-dna-sequence.html
・https://enginetrouble.net/images/2016/12/bp-actg.png

↑これがわかりやすい。

パテマとエイジが手を繋ぐ愛の形を化学の相補性で表すというSF恋愛ロマンがもう一つのテーマだと思います。

そう考えると、
「あんなにくっつきやがって〜orz。」と単純に悔しがるポルタのセリフも化学の相補性に気づかせるための謎解きのヒントっぽく聴こえました😄。

おそらく吉浦監督が、この時期はヱヴァ破に参加した後ぐらいだったと思ったので、吉浦監督なりの相補性の表現の形が「サカサマのパテマ」だったのではないかと思いました。かなり明瞭な答えで驚きました。😲

もう一つ、エヴァネタがあります。

———



















【吉浦監督的エヴァ説】

本作では、冒頭に旧エヴァのDEATH編(摩砂雪監督)のセカンドインパクト的な演出で重力異常が描かれます。
(摩砂雪監督は、未来少年コナンに影響を受けたとの事。)

それがわかると、建物の構造が第三新東京市とジオフロントに似てるかもと思いました。

ジオフロントは、直径が13.75kmある球状なので、89%埋まっている土砂がなくなると一つの都市が入る広さや、空を錯覚させる高さが十分にあります。

具体例で言うと、人間の視界が全くなにも遮るものがない状態でおよそ4kmほどです。山手線が半径約5km、雲がある高さが地表から2km〜8km。

宇宙ではなく、地下にAIGA民のためのコロニーを建設し、GAIA(天地)ならぬ、AIGAを作って、地底に、自然環境を再現すべくプラネタリウムを設置したんだろうなー。🌖がないんですよね。

パテマの顔のアップのカットで気づきましたが、パテマとエイジは、髪型をいじるとレイとシンジに似てます。

「過去を忘れる事でAIGA人は生きていける」(ゲンドウの言動とほぼ一致)と、敢えて真実をAIGAに伏せて、空を見上げるなというAIGAの規律を作った。ここは本当は地底なんだと、ゲンドウの理想からすると意識させたくなかったのでしょう。

———

上記を総合して考えると、かなり早い段階で補完計画には失敗したが、人々に違いのない自己愛に溢れた理想の世界AIGAを贖罪としてゲンドウ達が建造した。

黒き月が宇宙へ浮かんで元々の月を取り込み、月が大きくなった?

広くなったジオフロントにAIGAをゲンドウ達が作り、ゲンドウ達ネルフスタッフの生き残りは、AIGAの上で暮らすようになる。何世代も経ていくうちに、科学力は失われていく。

レイとシンジ達の末裔がそれぞれの民族に別れた。

AIGAには愛我の意味を込めて創ったが、行き過ぎた自己愛は皮肉にも理想とはかけ離れた、支配的な苦痛を伴うディストピア社会を作ってしまう。

シンジはシンエヴァでも語られているが、多様で助け合う相補的な世界を望む。
エイジは、シンジのDNAを受け継ぐ子孫。
パテマの方もレイのDNAを受け継ぐ子孫。

パテマとエイジがDNA的に惹かれあい
(綾波シリーズはそう設計されているはずなので)、助け合う事でAIGAが崩壊し、本当の地球であるGAIAに進むべく新世紀に新世界へ手を取り合って進む。

終劇
———
↑こんな感じかな?脳内補完計画が発動しました😄

Q. パテマとエイジが地底になぜ無事に落下出来たか?

地底部に天候や空調を調節するための風が出て落下の終端速度(Terminal velocity )が低下したか、元々ここを作った科学者達が作業中の落下に備えて重力定数にかける係数を弄る安全装置をつけておいたのか?

→視聴した感じだと風が強くなっていた描写があったから前者では?エヴァ説が真だとすると、Terminalドグマ(地下の最深部)と掛けてるのかも。

Q. なぜ月の周りにデブリが浮遊してるのか?

おそらく、地表の建物や人々の残骸かと。ちょっと怖い「Fly me to the moon.」😱を表しているのだと思います。

以上、勝手な吉浦監督的な急(旧)エヴァ説でした。😄
吉浦監督は破に参加してたので、エヴァのいろんなプロットを見てると思うんですよね。シンエヴァのドキュメンタリー見ても、さまざまなエンドが想定されてた様なので。

庵野監督もナウシカの続編を作りたかったという話は有名だけど、もしかすると同じモチベーションだったと考えると、面白いですね😄。

🗻⛳️

・ゲーム的要素

AIGAは、Eye我だとすると自分目線という意味もあるのかも。

脳味噌がサカサマって実は必要なこと。チェス盤をひっくり返して考えるという言葉もあるくらいで、相手の視点で物事を考えるのは深い考察を生む。

将棋で相手の手を読むときにも必要な考えで、岡本信彦さんは、将棋が強い事でも有名。単にアクセラレータつながりだけじゃない。

クロスワードや脱出ゲーム的な面白さがある。物語の脱出とゲームの脱出的な融合だと、打越鋼太郎さんのZeroEscapeシリーズ的な面白さがある。最後に大きな秘密を明かすという意味では、Ever17とかも。

「MYST」はやった事はないけど、吉浦監督がこの世界に入るきっかけとなった作品なので、その要素が本作にはあると思われた。

やった事はないが、もう少しライトな感じのレイトン教授シリーズ的なものを目指してたのかもと思った。

・その他の妄想😁

アイ歌でも感じたのですが、長井監督を意識されていたと考えると「あの花」に出てきた「地底人」のTシャツもコンセプトと関係あるのかなとか思ったりしました。

・映画のタイトルと、主題歌のタイトルが少しだけ違うのは、レイの器にリナ(CV 林原さん)の魂が宿った的な遊び心なのかな。

【サカサマギミックのインスピレーション】

メモ的なものです。

・2001年宇宙の旅のサカサマになるシーン

・未来少年コナンのフライングマシンは「反重力」だからそこかなと。作中でも、それっぽいものが登場しますしね。

・ラピュタの「飛行石」を使った描写をSF的に表現したかったのかな。これは、ほぼ上記と地続きですね。

・TV版エヴァのラストの方で、不自由をやろうってとこで、地面が描かれ天地ができ安心を得るのですが、天地が人によってサカサマになったらどうなるんだという思考実験的な動機があると思いました。

仮に天地を知っている我々が、いきなり宇宙空間に生存可能な状態で放り出されたら、どちらをみても深淵なので怖いと思うので。

・相補性からのDNAの引かれ合う≒惹かれあう構図から。

など。

【残念だと思った点】

謎解きではなく、ストーリーの方の視聴層を誰向けに作ったかというところですかね。

全年齢を志していたように思うのですが、
重力の概念は、時間や距離と比べると感覚では理解するのが難しいなと感じました。(大人の私でも初見では厳しかった。)。

わかりやすく言えば、とあるシリーズのアクセラレータの能力なんでしょうけど、空間ではなく、人や物体側の重力のベクトルが反転するというのがイメージしづらかったです。

Unityとかの3Dツールを日頃から触ってたら、たぶん一瞬で理解できたと思うんですけどね。VR技術が映画に取り入れられたら、視聴者にもすごくわかりやすく、重力の反転する恐怖が実感できるでしょう!

そういう意味では、演出的にもう少し対象年齢をあげても良いのではなかったかとは思いました。

隠されていたので見えないのですが、2人のキスシーンぐらいは見たかったな〜。まさか、あのシーンでサカサマのギミックで、それ以上のえちぃことはしてないと思ってますがwww。

緩急をつける意味で、ギャグ的にこのネタを使うのはアリかなと思いました。マグマダイバーの膨張してしまった的な😄。

ラゴスやエイジの父の死も扱いが軽いように感じました。イザムラも、悪役という記号的に感じてしまったかな〜。
ムスカとカリオストロ伯を思い出して、懐かしい感じはありましたけど。ちょっと説明不足感はありました。

アイ歌では、視聴層が想定されていたり、わかりやすさの工夫がされていたので、違和感なく観ることが出来ました。アンケートの設問からも凄く意識されているのだと感じました。

【その他】

・見本市や他の作品も見てみます!

・ネトフリで「少女終末旅行」を全話見た時「BLAME!」と本作がリコメンドされた理由が分かりました😄。AI賢い。
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