camuson

ねじ式のcamusonのレビュー・感想・評価

ねじ式(1998年製作の映画)
4.3
つげ義春の原作漫画は、確か学生の頃読んだと思いますが、
内容は全く忘れています。

さて、冒頭、何の前置きもなく、
暗黒舞踏(山海塾とか白虎社とかそういう系統)が始まり、度肝を抜かれました。
犬神サーカス団みたいなメイクをした人もいました。
全身土くれの人や、羊膜をドロンとぶら下げた人もいました。
チチとフンドシ、いいよっ!いいよっ!
最近こういうのは、恋のメガラバのPVとか、
映画CASSHERNとかで真似事を見るくらいで、
めっきり見かける機会は少なくなっていますが、
本家は活動しているんですかね。

余談はさておき、冒頭部は主人公漫画家が思い描き、
漫画では表現し得なかったイメージということで強烈ですが、
その後は、一応現実世界に戻って、
ちょっと落ち着いた味のある雰囲気で物語が進みます。

主人公は売れない漫画家で、貧乏に苦しめられながらも、
実は安定・安住をこそ最も恐れ、
恐怖・焦燥と性欲・官能とが混ざり合った
奇妙な心象風景が描かれていきます。
そのバランスが絶妙で、私は好きなのですが、
好き嫌いが分かれそうなところではあります。

大笑いしてしまったのは、
藤森夕子(CCガール)が、主人公の浅野忠信に、
水を引っかけられるシーンです。顔にです。
どうやって、狙い撃ちできているのか、
しくみはよく分かりませんが、
あの開放感は何なのでしょうか?ちょっとやばいですね。

目が描かれた目医者の看板がたくさん出てくるシーンは、
漫画で見たことがあるのを良く記憶しているのですが、
その他は、どこまで原作を反映しているものか、
結局最後まで原作の内容は思い出せませんでした。

原作も探せばどこかにあると思いますので、
見つけたら、読み直してみたいなと思いました。

あと気になったのは、画質が非常に悪いことで、
DVD化の際に手を抜いたのか、元からなのか分かりませんが、
一応芸術家を題材にした芸術指向の作品が、
画質が悪いことで更に間口を狭めてしまっている気がして、
綺麗な風景シーンが多いだけに、ちょっと残念な気がしました。
camuson

camuson