つげ義春の原作漫画は、確か学生の頃読んだと思いますが、
内容は全く忘れています。
さて、冒頭、何の前置きもなく、
暗黒舞踏(山海塾とか白虎社とかそういう系統)が始まり、度肝を抜かれました。
犬神サーカス団みたいなメイクをした人もいました。
全身土くれの人や、羊膜をドロンとぶら下げた人もいました。
チチとフンドシ、いいよっ!いいよっ!
最近こういうのは、恋のメガラバのPVとか、
映画CASSHERNとかで真似事を見るくらいで、
めっきり見かける機会は少なくなっていますが、
本家は活動しているんですかね。
余談はさておき、冒頭部は主人公漫画家が思い描き、
漫画では表現し得なかったイメージということで強烈ですが、
その後は、一応現実世界に戻って、
ちょっと落ち着いた味のある雰囲気で物語が進みます。
主人公は売れない漫画家で、貧乏に苦しめられながらも、
実は安定・安住をこそ最も恐れ、
恐怖・焦燥と性欲・官能とが混ざり合った
奇妙な心象風景が描かれていきます。
そのバランスが絶妙で、私は好きなのですが、
好き嫌いが分かれそうなところではあります。
大笑いしてしまったのは、
藤森夕子(CCガール)が、主人公の浅野忠信に、
水を引っかけられるシーンです。顔にです。
どうやって、狙い撃ちできているのか、
しくみはよく分かりませんが、
あの開放感は何なのでしょうか?ちょっとやばいですね。
目が描かれた目医者の看板がたくさん出てくるシーンは、
漫画で見たことがあるのを良く記憶しているのですが、
その他は、どこまで原作を反映しているものか、
結局最後まで原作の内容は思い出せませんでした。
原作も探せばどこかにあると思いますので、
見つけたら、読み直してみたいなと思いました。
あと気になったのは、画質が非常に悪いことで、
DVD化の際に手を抜いたのか、元からなのか分かりませんが、
一応芸術家を題材にした芸術指向の作品が、
画質が悪いことで更に間口を狭めてしまっている気がして、
綺麗な風景シーンが多いだけに、ちょっと残念な気がしました。