りょうた

海の沈黙のりょうたのレビュー・感想・評価

海の沈黙(1947年製作の映画)
4.0
1941年ドイツ占領下のフランス。老人と姪が暮らす家が接収され、ドイツ軍将校が同居することになる。将校は毎日軍服から私服に着替えて2人の前に現れ、フランスへの憧れなど様々な話をするが、ドイツへの抵抗から頑なに無視し続ける2人。礼儀正しく「おやすみなさい」と言って部屋に戻っていく将校に、2人の心は葛藤するが沈黙は続く。ある時将校はナチスが強制収容所で大量殺戮を行なっているという衝撃的な事実を知ってしまう。
「サムライ」や「影の軍隊」を撮ったメルヴィルの処女作。オープニングから洒落てる。意志の強さが窺える横顔で編み物を続ける姪が、最後真正面から将校を見据えた時の美しさ、感情の揺らぎ。そして告げられる「さようなら」の物悲しい響き。静かに心に沁みる素晴らしい物語だった。
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